REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第19回 言葉の編集③


「家族のノンフィクション」を発表する
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。9月17日(土)は菅付さんによる連続講義「言葉の編集」の3回目の授業です。

言葉を「コミュニティや社会、文化そのものの基盤を築いてきたもの」として捉え、その起源や役割を歴史から紐解いていった初回。数々のインタビューノンフィクションの作品を参考にしながら、「人の話を聞いて、まとめる」ことの意味や意義を確認していった第2回。そして、今回は生徒のみなさんが「人の話を聞いて、まとめる」ことに挑戦して書き上げた「家族のノンフィクション」の成果を発表していきました。




「言葉の編集」を実践してみてわかったこと
一番身近、だけど実はあまり知らない。家族という存在と向き合い、言葉のクリエーションに挑戦していった生徒のみなさん。それぞれがインタビューの相手に選んだのは、戦争をリアルタイムで体験した祖母、工務店の社長でありながらダンスを続ける父、台湾に生まれ日本で暮らしている母など、様々。まずはそれぞれのインタビューノンフィクションを読み上げていきます。

「この人からどんな印象を受けた?」。それぞれの発表を終えると、まずは菅付さんから発表者以外の生徒の皆さんへこんな質問が。「家族想いの愛情深い人なんだなと思った」「変わった人だけど、すぐ行動に移せることはすごいこと。自分も見習いたい」「自分を貫き通す、強い意志を持っているんだと思う」など、一度も会ったことも話したこともないけれど、作品のなかで描かれるその対象の人物のイメージが、それぞれの頭の中に浮かんでいるようです。

「実際にインタビューをしてみて、どんな気づきがあった?」。続いて菅付さんから発表者本人へ、こんな質問も投げかけられます。「インタビュー中はデリケートな話題が多くて、正直どこまで踏み込んで聞いていいのか迷ってしまったんです」「楽観的で結果主義的な父と自分は真逆な存在だと思っていたけど、インタビューを編集してる時、何かにハマった時への熱量は似ていることに気がつきました。共通点を見つけられてよかった」。「言葉の編集」を学び、さらにインタビューノンフィクションの実践を通した今回。「書く」というアウトプットのためには「聞く」というインプットが重要だったり、さらには自分自身の心の動きを繊細に受け止めていくことが大切だったり。生徒の皆さんのなかでも、いろんな発見があったようです。


編集という技術を活かしていくこと
「誰かの話を深く聞き出すこと、それを文字に変換して別の誰かに伝えること。この二つは、クリエーションの基本。そして、これからのクリエーションにおいて欠かせないスキル。繰り返し続けていくことで、色々な人との広く深い関係ができあがる。そうすれば、自分一人では成し遂げられないクリエーションを実現させることができるはずです」。「編集」は本や雑誌をつくるだけでなく、クリエーションにおいて基本的な技術であることを改めて確認していきました。


「言葉の編集」の実践は終わらない
今回で、連続講義「言葉の編集」は終了。次回からは「イメージの編集」の実践へと続いていきます。何気なく使っていて、あたりまえになっている言葉を捉え直すことで、普段の日常生活もインスピレーションの舞台になりそうです。

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