REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第16回 言葉の編集②


言葉によるクリエーションの基礎、「人の話を聞いて、まとめる」
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。7月30日(土)は菅付さんによる講義「言葉の編集」の2回目の授業です。

言葉を「コミュニティや社会、文化そのものの基盤を築いてきたもの」として捉え、その起源や役割を歴史から紐解いていった前回。今回は、言葉によるクリエーションの実践へ向かうために、数々のインタビューノンフィクションの作品を参考にしながら、「人の話を聞いて、まとめる」ことの意味や意義を確認していきました。



インタビューという、当たり前だけど深くて歴史のある営み
「聖書はイエスの言葉を聞いて書き記したもの。テレビで流れているニュースも政治家の言葉を聞いてまとめたもの。私たちの普段の生活の中にも、そのような例がたくさんありますよね?『インタビュー』と言い換えられるこの行為は言葉のクリエーションの根幹を担うものなんです」。授業冒頭、菅付さんから今回のテーマが発表されます。

そして生徒の皆さんの手元に配布されたのは、115種類もの職業に就く人々にインタビューした『仕事!』(スタッズ・ターゲル著)等の「インタビューノンフィクション」というジャンルの作品の数々。まずは、それらを読んで感想を言葉にしていくことから始まります。そして、菅付さんから問いが次々と投げかけられます。「この人はどんな人?」「街自体はどんな状況だろう?」「今のアメリカと変わったこと、変わっていないことはどんなこと?」。生徒のみなさんが言いよどみなく答えていく様子に驚きもしますが、菅付さんの問いそのものが考えを深堀りしていくきっかけを提供しているようです。そのなかで、「インタビューノンフィクション」というジャンルが、生活や暮らしのなかで見過ごしたり当たり前過ぎて関心が向かないことにも、新たな視点や価値を見出していることを改めて確認していきます。



言葉は全ての基礎
「今回読んだインタビューノンフィクションの作家だけでなく、私たちだって誰かや自分自身と向き合い、インタビューしながら日々生きている。そんな私たちにとって、人の話をよく聞くこと、そしてよくまとめることは大切な力だと思います。そしてその力は言葉のクリエーションを支える基礎であり、言葉以外のクリエーションにも必ず繋がっていくんです」と、普段の生活とクリエーションが地続きであることも、生徒の皆さんは新鮮に感じていたようです。


「人の話を聞いて、まとめる」ことの実践
菅付さんから次回の「言葉の編集」の課題として発表されたのは、「家族のノンフィクションを書くこと」。身近な暮らしや身近な存在に目を向けていきながら、言葉のクリエーションに挑戦していきます。

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