REPORT

「EDIT CITY 都市の探検と編集」第2回 わたしの街の歩き方


アーティストの視点で街を捉え直す
「EDIT CITY 都市の探検と編集」は編集のクラス。紙媒体を作り上げることの可能性や、街を面白がる様々な視点を学んでいきながら、全10回の授業を通して生徒一人一人が都市を舞台にした本づくりに挑戦していきます。

9月14日(水)は、第2回「わたしの街の歩き方」を開催しました。講師は、都市を舞台に様々な作品やプロジェクトを行うアーティスト・SIDECOREの松下徹さんとDIEGOさん。都市の中でどのようにテーマを見つけ、創作や発表の舞台としているのかを実際に渋谷の街を歩くことで捉えていきながら、自分なりの街の見方を探っていきました。

 


新たな都市風景が浮かび上がる
授業のはじめには、SIDECOREによって制作された「RIVER DIVER MAP」が生徒一人一人に配られました。「RIVER DIVER MAP」は、グラフィティなどストリートカルチャーの歴史と、都市そのものの地理的な背景、そしてSIDECOREメンバー自身の興味を軸に作られた渋谷の街のガイドマップ。今回は松下さん、DIEGOさんとともにマップに紹介されているスポットを辿りながら、SIDECORE独自の視点から渋谷の街を捉えていきます。

渋谷と原宿を繋ぐ遊歩道・キャットストリートにはかつて「穏田川」という川が流れており、そこにかけられていた橋の名残が現在も残っていること。ストリートアートに造詣の深いフランス・パリのファッションブランド「agnès b.」の渋谷店では、店内各所で国内外の様々なストリートアーティストのグラフィティやアートワークをみることができること。グラフィティを上書きするように描かれる「クリーンアート」という存在があること。松下さんとDIEGOさんが紹介してくれるエピソードは、いつもの渋谷を新鮮なものとして感じさせてくれるものばかり。マップを片手に、まるで初めて訪れた土地を探索するように、渋谷の街を練り歩いていきます。普段とは少し違った視点や見方から街を捉え直してみることを体験を通して実感できたようです。

 


自分から街を面白がっていくこと
後半では、SIDECOREや、ストリートアーティストによって制作されたZINEを通して、都市を自分なりの視点で切り取り、形にする様々な例に触れていきます。コロナ禍で一変した街の風景を捉えたもの。自分の街での行動を地図に重ねながら記録したもの。街で見つけた気になる人をスナップしたものなど。ZINEを通して様々な都市風景が浮かび上がっていきます。「テーマを決めて作るのもいいけど、必ずしもそうしなきゃいけない訳ではない。携帯にある、なんで撮ったか忘れてしまったような写真をまとめてみても、意外と面白いものができるかもしれない。そうやってラフに作れるのがZINEの良さだと思う」とDIEGOさん。そんなZINEの気軽さや自由さは、街が本来持っている面白さとも重なっていくようでした。

「別にSNSにアップしなくても、人に見られていなくても、自分が面白いと思っていたらそれでいい。もちろん人を傷つけたり、困らせるようなことはしないほうがいいけど、絶対に人に怒られちゃダメとか、ルールを破っちゃダメとか、そうやって思いすぎてしまうと街に面白いことは生まれていかない。システマチックな都市の中にある隙間を見つけていくことで、街の見え方も変わっていくはず」と、最後には、街を創作の舞台としていく上でのキーワードとなるような、お二人の実体験に基づいたエールの言葉もいただきました。

 


次回は、編集者としての生き方や考え方に触れる
次回の第3回授業のテーマは「面白がる気持ちに委ねてみること」。講師は、編集者の都築響一さんです。見て見ぬ振りをされ、いつしか忘れ去られてしまうような風景を捉え、街のリアリティやそこに生きる人々のストーリーを浮かび上がらせていく。そんな都築さんのこれまでの著作や活動を紐解いていきながら、編集者としての生き方や考え方に迫っていきます。

 

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