REPORT

「ものがたりとものづくり」 第6回 中間発表


実作に向かうための中間発表
「ものがたりとものづくり」はプロダクトデザイナーの岩元航大さんが講師を務める全11回のクラス。カリモク家具の木材に触れながら、生徒の皆さんも1人のプロダクトデザイナーとして制作や発表をしていきます。

2月19日(日)に開講した今回はこれまでの成果を披露し、実際に実作を進める次回以降の課題を捉えるための中間発表。エスキスとプレゼンボードを使って生徒それぞれが発表を行っていきます。講評には講師の岩元さんに加え、第2回授業の講師でもあるカリモク家具副社長の加藤さんとスタッフの森川さんも参加してくださいました。





木と、自分の「ものがたり」
「樹液だけが活用されがちな漆のハニーディッパー」「震災のあった地域で伐採された栗の緊急用ホイッスル」「木言葉『独立』にちなんだナラの貯金箱」「殺菌効果があって自分自身も履いてみたい杉の下駄」「街路樹として人を見守っていた欅に次はトッケイヤモリを見守って欲しいという想いから考えた飼育ケース」など。1人1個に止まらず、木の種類ごとの特性、一本一本の木の「ものがたり」、そして自分自身の興味関心を紐付けた生徒のみなさんのアイデアがいくつも発表されていきます。



木材の特質に迫る
生徒の皆さんは、これまでの木材工場の見学やリサーチや考察を踏まえて、実作に向かうからこそ、木材に関する興味関心が深まっていくようです。自ずと、イメージや疑問も詳細に渡っていきます。

「『漆に触れるとかぶれる』と聞いたことがあり、水筒として利用することは現実的でしょうか?」という疑問には、「ウルシは乾燥させれば肌に触れてもかぶれることはありません。逆に殺菌効果もあるので水筒としての利用もきっと可能だと思います」。「飼っているトッケイヤモリの飼育ケースを作りたくて、いろんな種類の木材を置いてみたら、ケヤキが一番お気に入りのように感じました」という声には、「素晴らしい検証ですね。一方で、ケヤキって結構重たいんです。それが良さでもあるんですが、もし飼育ケースを頻繁に動かして使うなら違う素材も検討してもいいかもしれません」。木材の特質等に関して、カリモク家具の加藤さんとの森川さんが生徒の声に丁寧に答えてくださいました。




実作に向けた心構えを養う
授業の最後には、「カリモク家具の工場での授業を踏まえながら、一本一本の木の気持ちに寄り添ってくれたのがとっても嬉しかった。僕らでは出てこないたくさんのアイデアに出会えることができました。このアイデアを理想的な形にできるように僕らも応援していきます」とカリモク家具社長の加藤さんから応援メッセージが贈られました。

木工旋盤、バンドソー、マルノコ盤、ベルトサンダーなど。木材を実際に切ったり磨いたりするために、次回からは会場を岩本さんが主宰する「スタジオ発光体」に移して、実制作に入っていきます。「本物の加工機材を使っていきます。スカートやフードは来てこないでください。巻き込まれてしまいとても危険です」と、岩本さんから案内があると、生徒の皆さんには、これまでにないワクワクとともに独特な緊張感が見られました。

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