REPORT

「ものがたりとものづくり」 第3回 素材のリサーチ


素材の特性を理解する
「ものがたりとものづくり」はプロダクトデザイナーの岩元航大さんが講師を務める全11回のクラス。カリモク家具の木材に触れながら、生徒の皆さんも1人のプロダクトデザイナーとして制作や発表をしていきます。

前回の授業は、愛知県知多にあるカリモク家具を訪れての工場ツアー。これから生徒のみなさんが素材として扱う9種の木材に触れながら色味や肌触りを確認していきました。そして今回の授業は、工場ツアーで実際に触れたり学んだ木材のなかで、「自分が特に気になった木の特性を調べてくる」という課題の発表。素材についての理解を深めていきます。





プロダクトデザインの第一歩としてのリサーチ
1本1本の「ものがたり」を大切にしながらも、そもそもどんなところに分布していて、どんな用途に適していて、どんな歴史を持っているのか。前回の授業を終えて生徒の皆さんがリサーチした成果を発表していきます。

堅牢で成長も早いため建築資材に用いられるクリ、抗菌作用があることからまな板で知られるホオ、「日本書紀」にも記述があるほど日本と馴染み深いスギ、「しなやか」の古語「ならなら」が名前の由来のナラ、「健康/長寿」という花言葉の縁起の良さから本来分布しないはずの地域まで拡がるケヤキ、など。それぞれの生徒の興味や関心も滲んで見えてくるような成果発表の時間。中には「ケヤキは人のエゴに振り回されている木」と感想を漏らす生徒の姿も見られました。

「今日は分析の時間。そして次は提案の時間になります。木の特性を振り返りながら、次回までに1人15個のデザインスケッチをまずは描いてみましょう!例えばこんな感じで、、、」。岩元さんが持ち寄ってくださった過去のデザインスケッチを参考に、生徒の皆さんもイメージを膨らませていきます。


「ものがたり」をデザインの核に置く
授業の後半では発表資料を机一面に並べて、それぞれが浮かんだアイデアを思い思いに言葉に。デザインの核となる部分を探っていきます。

「人の視点だけではなくて、虫の視点・鳥の視点で木を捉えたり、木そのものの視点で『何になりたいのか』を考えてみたり。色々な視点から『ものがたり』の出発点を探してみましょう」。そんな岩元さんの呼びかけと呼応するように、「ケヤキは街路樹として同じ場所に居続けるけど、本当はどこかに移動してみたそう」「漆は限られた用途ばかりだけど、本当はもっと人にとって身近な存在になりたいんじゃない?」など、生徒の皆さんから少しずつアイデアが生まれてきました。


インプットとアウトプットを繰り返す
それぞれの木材が持つ特性を捉え、デザインの核を探って行った今回の授業。今回までの学びを活かしながら、次回以降は何度もアウトプットを重ね、またフィードバックをインプットし、実際の制作に入る後半に向けて具体的なデザインの方向性を固めていきます。

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