REPORT

「新しい演劇のつくり方(第2期)」第2回 戯曲づくり(原作の読み込み)


『三月の5日間』で感じたことを、これからの演劇づくりの起点とする
「新しい演劇のつくり方」は昨年度に続いて開講となる演劇のクラス。今年度は演劇カンパニー「チェルフィッチュ」を主宰し、このクラスの総合ディレクターを務める岡田利規さんによる『三月の5日間』を原作とし、中高生である生徒の皆さんが新たな演劇作品を戯曲からつくっていきます。

1月8日(日)の第2回授業は、演劇ユニット「スヌーヌー」を主宰される笠木泉さんと共に、それぞれが原作を通して感じたことを発表し、これからの戯曲づくりの核となる要素を探っていきました。


俳優でもあり劇作家でもある笠木さん
今回から講師を務める笠木さんは、俳優としてキャリアをスタートし、現在は演劇ユニット「スヌーヌー」を主宰。劇作家として、2021年度「岸田國士戯曲賞」の最終候補にノミネートされています。

「私は劇作家として長く活動しているわけではなくずっと俳優でした。だけど、みんなと同じくらいの年齢で演劇と出会って、続けて、悩んできた。劇作家として、何か教えることはできないかもしれないけど、一緒に悩んで、書いて、考えることはできます。まずはなんでも聞いてください」と笠木さん。教える、教えられるといった関係ではなく一緒に歩んでいくもの。これからはじまる演劇という集団創作に向けて、どんな関係を育んでいきたいのか。そんな笠木さんの気持ちと生徒のみなさんが目線を合わせていくための時間が持たれます。





どのように『三月の5日間』を読み込んできたのか
今から約20年前の初演の観劇が叶ったという笠木さんは「これまでに触れてきたものとは全く違う、衝撃的な舞台だった。世界を変えたと言っていいと思います。『演劇って大きく変わっていけるのだな』と目の当たりにした。大きな何かを想像するための舞台をつくったのでは」と、『三月の5日間』が発表された当時のことを振り返ります。事前に『三月の5日間』を映像で観劇し、戯曲を読み込んだ生徒のみなさんも、それぞれに感じたことを発表していきます。

「登場人物の喋り方がリアルで、普段見る演劇作品とは全然違った」「リアル過ぎて、そのことばかりが気になってしまった」「喋り方がたどたどしてくて、逆に耳を傾けたくなった」「登場人物の性格がつかめない。感情を感じなかった」「キャラクターの曖昧さや多面的なところは、本来わたしたちがそうだよねと思った」と、それぞれの素直な心象を少しずつでも表していくことで、それが呼び水となって、会話も広がっていきました。

生徒のみなさんの感想を共有することで『三月の5日間』の読み込みを深めるとともに、笠木さんからこの作品の舞台となっている渋谷の地図が提示されます。戯曲のストーリー展開を確認しながら、それらを地図にプロットしていきました。自分以外の人の観点。場所と物語を紐付ける体験。それらを通して、『三月の5日間』の味わい方を深めていく機会となりました。


次回は、さらに『三月の5日間』を深堀りする
次回の授業に向けて、笠木さんから「『三月の5日間』のどこに『かっさわれた』かを考えてみる」という課題が出された今回。生徒の皆さんはそれぞれが印象に残ったシーンや登場人物など、そのストーリーにもう一度目を向けて、さらに『三月の5日間』を深掘りしていきます。

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