REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第18回 イメージの編集①


「言葉にならない言葉」としてのイメージを捉える
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。9月10日(土)は菅付さんによる講義「イメージの編集」の1回目の授業です。

菅付さんによる前回の連続講義「言葉の編集」では、「コミュニティや社会、文化そのものの基盤を築いてきたもの」としての「言葉」に着目。今回は、視覚言語としての「イメージ」の存在に迫っていきました。




イメージの伝達と触発
紀元前800年の壁画からはじまり、1600年代の自画像、1900年代の報道写真、2000年代のCMなど。イメージの歴史をその具体例と共に見ていくと、出来事を記録するため、情報を伝達するため、多くの人を扇動するためなど、その機能が次々と拡張していっていることが浮き彫りになってきました。それらのイメージにおいては、「わかる」ことが目的にされ、受け取る人が正しく理解することが大切にされていると菅付さんは言います。

一方で、「わからなさ」があるからこそ、人々を触発させるイメージの存在も強調します。例えば、アートもその具体例の一つ。マシュー・バーニーによる巨大なスタジアムと巨大な人間が交互に映される映像作品、ピピロッティ・リストによる車の窓を笑顔で叩き割る映像作品、アンドレア・グルスキーによる異常に広大なスーパーマーケットを撮った写真作品などを鑑賞すると「これはなんだろう?」と生徒のみなさんの中から疑問が。それをきっかけに、自分自身の心の動きと向き合う時間が生まれたり、生徒のみなさん同士で自然とディスカッションがはじまります。身を持って、イメージが持つ多様な働きを実感していきました。


「わからなさ」を大切に
「僕たちは1日に11,000個のイメージを見ていると言われるほど、イメージに囲まれて生きています。そんな時代の中で、単に『わかる』イメージを伝えるのではなく、『わからない』イメージを通して人々を触発することが肝心。簡単には消費されないイメージにこそ価値があるんです」と菅付さん。今回のテーマである「イメージの編集」を学ぶ意味や意義を丁寧に確認していきます。


人を触発するイメージのつくり方
次回の菅付さんによる「イメージの編集」では、触発的なイメージをどのようにつくりあげていくのか、様々なクリエイターを実例にあげながら、そのプロセスを紐解いていきます。

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