REPORT

「EDIT CITY 都市の探検と編集」 第1回「自分のメディア」を持つということ


ZINEを通して、個人メディアの可能性を紐解く
「EDIT CITY 都市の探検と編集」は編集のクラス。紙媒体を作り上げることの可能性や、街を面白がる様々な視点を学んでいきながら、全10回の授業を通して生徒一人一人が都市を舞台にした本づくりに挑戦していきます。

9月7日(水)は、第1回授業「『自分のメディア』を持つということ」を開催しました。講師は、ライター/翻訳者の野中モモさん。ZINEを中心とした自主出版物の普及・振興活動でも知られる野中さんとともに実際に様々なZINEに触れながら、個人メディアの持つ可能性を紐解いていきました。授業の後半では、それぞれが影響を受けた本を紹介し合いながら、生徒同士の交流会も行いました。

 


小規模であるからこその深さと広がり
「私は本を作ることを生業としていますが、『ZINE』のように商業的に成り立たないものや、流通する体裁に整えられていないようなものの中に、大事なこともたくさんあると思っています」と、野中さん。GAKUの机に、野中さんご自身の私物である国内外の様々なZINEがずらりと並びます。授業の前半では、それらを一つ一つ解説いただきながら、ZINEの存在に迫っていきました。

作り手自身の好きなものや気になるトピックを詰め込んだZINE。大きなメディアでは取り上げられないような少数派の声や社会に対するまっすぐな意見や想いをまとめたZINE。自分の日常を日記のように綴ったZINE。手書きであったり、雑誌の切り抜きをコラージュしていたり、新聞のような紙面になっていたりと、内容とともに形や作り方も様々です。それはZINEという表現媒体だからこその魅力であり、「一人で作り上げているからこそ表現できるものがある。小規模でも、少しずつ仲間を増やしていける」のだと野中さんは言います。そんな野中さんからの言葉に背中を押されるように、「こんなに自由で、簡単に作ってもいいんだ。これなら自分でもできるかも!」「とにかく『伝えたい』という熱量が伝わってくる。誰かが夢中で追いかけているものって、こんなに面白いんだ」と、熱心にZINEを読む生徒の皆さん。個人メディアの自由さを前にして、こだわりや偏愛、憤りや不安といった自分自身の気持ちにも創り手として意識が向いていくようでした。

 


お気に入りの一冊を紹介し合いながら交流会
授業の後半では、それぞれのお気に入りの本を紹介し合いながら、ささやかな交流会も行いました。

「5歳の時に父がアメリカで買ってきてくれた世界各国の風土や特徴がイラストで書かれている地図みたいな本。もらった時は絵が面白くて読んでいたけど、成長するにつれて国の表し方や表現の仕方そのものにも意識が向いてきた。本自体もとても好きだし、自分自身の興味の変化に気づくきっかけにもなった一冊です」「タワーレコードに置いてあった、好きなバンドのインタビューが載っているフリーペーパー。他にも、いろんなお店や街に置いてあるフリーペーパーが面白くって、いつもチェックしています」「個人的に書いている小説。改めて読み返すと、自分の気持ちや感情を再確認できて面白くて、時々読んでいます」と、生徒の皆さんそれぞれの想いやエピソードとともに紹介されます。本づくりや編集だけでなく、写真やイラスト、小説、音楽など、お互いの興味関心も伺い知れて、自然とクラスの生徒の皆さん同士の会話も広がりました。

 


自分の考えや意見を社会に伝えていくためのエクササイズ
「今回の授業を通して皆さんが行う本づくりは、たくさんの人が関わって街に広く配られていくもの。だから作っていく中では、自分の思い通りにいかない場面も出てくるかもしれません。そこでどうしたらみんなが満足する形になるのか解決策を考えるのは、ひとりではできない大きな学びになると思います。自分の本当の気持ちを大切にして、街をみて素直にいろんなものを感じて表現してほしい。今回の取り組みが自分の考えや意見をうまく伝えていくためのエクササイズになるといいな」と、野中さん。生徒の皆さんは、面白い!創ってみたい!誰かに伝えたい!など、自分の気持ちに正直でいることの大切さを改めて感じ入っている様子でした。

 


次回は、アーティストの視点から街を捉え直してみる
次回の第2回授業のテーマは「わたしの街の歩き方」。講師は、都市を舞台に作品制作やプロジェクトをおこなうアーティスト・SIDECOREの皆さんです。SIDECOREが都市でどのようにテーマを見つけ、創作や発表の舞台としているのかを実際に渋谷の街を歩くことで捉えながら、自分なりの街の見方を探っていきます。

 

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