REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第17回 上西祐理さん


サービスを自分で考えて、その広告をつくる
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。9月3日(土)はアートディレクターの上西祐理さんによる2回目の授業です。

企業広告からアーティストのグッズ、ファッション雑誌まで、アートディレクターとして幅広いジャンルを手がけられる上西さん。前回の授業では、ご自身の仕事を実例に、それぞれがどのようにしてつくりあげられていったのか、その思考のプロセスを細かく紐解いていきました。今回生徒の皆さんはそんなアートディレクターの思考のプロセスを追体験する課題に挑戦。その成果を発表していきました。




根っこから広告をとらえる
多くの人の目に止まる企業広告の仕事に取り組む際、上西さんはまず「今、この社会にとって必要なメッセージはなんだろう」といつも考えるそう。そんな上西さんからの課題は、「20年後の未来を考えること」そして「その時代に欲しいものやサービスのポスターをつくること」。

20年後のあるべき社会像。その理想像を前進させるようなサービス。ネーミングやキャッチコピーも含めて、そのサービスを表現する言葉や色や形。前回の授業での上西さんのメッセージを受けて、何をどう表すべきか?その根本のところから考え抜いて制作されたポスターの発表には熱がこもります。「犬と人がお互いを理解できたらお互いもっと幸せになれると思うんです。このマシーンで繋げばお互いの思っていることがすぐにわかります」「20年後、目の見えない人には不親切なポスターそのものがなくなるんじゃないかな?だから目が見えない人も認識できる、脳内にイメージを浮かばせるサービスをつくりました」。と、デザインの検討が、社会のあるべき姿の検討と重なっていくことの手応えが感じられていたようです。


理想的な社会を考えないとつくれない
上西さんからは生徒の皆さんへ「広告をつくる前に『考えること』。それは広告以外のクリエーションでも欠かせないこと。菅付さんもいつも言っているように、さらにたくさんの人や言葉やクリエーションに触れることが、自分が考えること、そして自分のつくるものにも繋がっていくはずです」と、1人のクリエイターとしてのアドバイスも贈られました。


クリエーションの責任
「広告をものを売るためのものとだけ思っていたけど、社会をより良くするための手段なんだな」という声もあがっていたように、自分のクリエーションが社会にあたえる影響を徹底的に考え抜く上西さんの姿は、生徒のみなさんのクリエーションにまつわる職業感を豊かにするものであったように感じました。

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