「新しい演劇のつくり方(第2期)」 第9回 演出・演技(読み合わせ)
戯曲に、演出と演技を重ねていく
「新しい演劇のつくり方」は昨年度に続いて開講となる演劇のクラス。今年度は演劇カンパニー「チェルフィッチュ」を主宰し、このクラスの総合ディレクターを務める岡田利規さんによる『三月の5日間』を原作とし、中高生である生徒の皆さんが新たな演劇作品を戯曲からつくっていきます。
4月16日(日)、第9回授業の今回からは、演出と演技の授業。作家・演出家・俳優の山田由梨さんを講師に、約4ヶ月を通して書き上げた戯曲を読み解き続けることで、演出と演技の面からも作品を形にしていきます。
全員演出家
今回から講師を務める山田さんは、大学在学中に劇団「贅沢貧乏」を旗揚げ。作家・演出家として劇団を率い、一軒家の中を観客が移動しながら観劇する作品など、既存の上演形式に縛られない実験的な作品でも知られています。またご自身も俳優として演劇作品はもちろん、映画・ドラマ・CMへ出演し、過去には第1期講師の山本卓卓さんの「うまれてないからまだしねない」の再演公演にも出演されていました。
ここまでの授業で完成させた戯曲。とはいえ、約3ヶ月後に控える上演に向けて、シーンごとにどのような世界観やニュアンスや雰囲気なのか、どのような気持ちで舞台に立つのかといった演出や演技の面で検討していくべきことがまだまだ多くあります。山田さんは、「私はみんなの交通整理役。みんなが迷わず発言できる環境をつくりたいと思っています。全部間違いじゃないから、アイデアも違和感も、まず表現することに挑戦してほしい」と、全員が主体的に演出家であり続けていくために前提とすべきことを丁寧に語りかけます。
まず登場人物を演じてみる
まずは生徒の皆さんへの事前アンケートを参考にしたキャスティングで戯曲の読み合わせ。これまでの授業で書き上げた言葉を生徒のみなさんとじっくり読み上げていきます。登場人物がどのようなキャラクターなのか。声のトーンや所作はどのようなものか。そのシーンはどのようなものなのか。ただセリフを読み上げるのではなく、できるだけ舞台をイメージしながら、それぞれの感触を共有していきます。
「このシーンはどんな場所のどんな時の対話なんだろう?」「このキャラクターはもっと孤独なイメージ?もっと子供っぽいイメージ?」「主人公の置かれた状況は、私たち全員が同じようになりうる。だから、演じるのは1人ではなく、複数人が移り変わるものいいのでは?」。これまでとは違う方法で戯曲と向き合うと、自然と登場人物の輪郭がより明確に掴んでいくことができるようです。だからこそ、演出を考えていくための鍵となり、次のステップにつながっていくような疑問もたくさん生まれてくるようでした。
上演のための空間のあり方を考える
次回の授業では、作品をどんな空間で上演するのか、GAKUでの舞台美術案を練っていきます。授業終了直後から、時間を惜しむようにお互いにアイデアを出し合う姿もみられました。