REPORT

「我美と作美」第7回 美しさの発信


自分なりの美をつくる、自分なりの美と社会をつなげる
これからの時代の美意識をつくっていく10代が、メイクアップを通して自分にとっての「美」の表現や発信に挑戦する「我美と作美」。ヘアメイクアップアーティストの計良宏文さんをはじめ、様々なクリエイターと共に様々な「美」のあり方に触れ、自分にとっての「美」を探り作品として形づくってきた生徒の皆さん。3月30日(水)、最終回となる今回は、Instagram広報の市村怜子さんを講師に迎え、制作してきた「美」の届け方を共に考えていきました。




誰もが表現発信する時代にクリエイターとしてSNSを使うこと
「フォロワーや『いいね』の数だけが大切な訳ではないし、そもそも発信することだけが全てでもありません。とはいえ、身近なSNSとして知っておいた方がいいことも沢山ありますので」と、素直な会話も交えながら授業がスタート。

前半は、市村さんと生徒の皆さんがそれぞれ好きなアカウントを発表。普段からメイクの参考にしているメイクアップアーティスト、たくさんの珍しい花を紹介している花屋さん、普段は見れない製作過程をあげている和紙メーカーなど、それぞれが紹介するアカウントは様々ではありますが、ジャンルは違えど何かを生み出して発信しているクリエイターであるということは共通しているようです。と同時に、インターネットなどのテクノロジーの発達や普及により、誰もが表現・発信しているこの時代状況では、「みんながクリエイター」であるということも確認していきます。そして、クリエイターが自身のクリエーションと社会との接点をどのように生み出しているのかは気になるところ。双方向のコミュニケーションやコミュニティというキーワードや事例をみていきながら、コラボレーションやプロセスを共有するオープンなやり取りを通して新しい経済圏を生み出していく潮流にヒントがあるようでした。

後半は、「Instagramを使っていて魅力に感じるところ、逆に不安に感じるところはどんなところですか?」という問いかけから、対話を重ねていきます。「いつでも簡単に発信ができる」「自分が見せたい一面だけを見せられる」「現実には繋がれないような人と繋がれる」などの魅力が語られる一方で、「『いいね』の数を気にしてなかなか投稿できない」「自分より優れている人がたくさんいて自己肯定感が下がる」「自分の意図したメッセージと違った意味で人に伝わってしまった」「Instagram上だけで自分自身がどんな人か判断されちゃう」など、実体験に基づいた不安感も分かち合われていきました。もちろん、市村さんからはそれらを解消するための機能もご紹介。「いいね」の数やコメントを非表示にしたり、自分の投稿を見れる人を制限したり。使えるものは使いつつ、テクノロジーの光と影の側面をバランスよくとらえていくための知識や情報、心構えも捉えていきます。


外を意識することは、内を意識すること
対話も深まっていくと、生徒の皆さんからの投げかけも自ずと深まります。「僕にとって、第二の自分をつくりあげて色々な人に出会える場所がSNS。でも同時に実際の生活もあるから二つの人格を持っている感じがあって、SNSと実際の生活のバランスってどう取ったらいいんでしょうか?みなさんはどう思いますか?」と、自分自身の内省からは、それぞれのアイデンティティのあり方にも話が及びます。結局のところ、外に向けて発信をするということは、自分自身との向き合い方や間合いのとり方とつながっていくのかもしれません。


クリエイターとしてのそもそもを紐解くクラス
メイクアップというジャンルを越え、歴史や社会、ファッションや造形など、様々な方向への学びが広がっていった今回のクラス。時代によって変わる美しさ、変わらない美しさ。自分にとっての美しさ、人から見た美しさ。これからの時代の美意識をつくっていく10代のみなさんが、「美」を多角的に捉えながら自分にとっての「美」を表現する機会となりました。

*生徒の皆さんの作品集はこちらからご覧いただけます。

 

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