REPORT

「我美と作美」第4回 ヘアメイクの基礎技術


プロの現場で実際にやってみるからわかること
これからの時代の美意識をつくっていく10代が、メイクアップを通して自分らしい「美」の表現や発信に挑戦する「我美と作美」。2月16日は、メイン講師である資生堂トップヘアメイクアップアーティストの計良宏文さんが校長を務めるヘアメイクアップスクール「SABFA」に会場を移し、第4回授業を開講しました。

時代や社会によって影響を受ける「美しさ」の変遷を学びながら、個々の美意識と向き合ってきたこれまでの授業。今回は最終課題テーマである「新しい自分」をイメージしながら、ヘアメイクの基礎技術を学び、実際に自分の顔をキャンバスにして実践していきました。





メイクアップをしながら自分自身をみつめる
前半は、計良さんによるデモンストレーション。ナチュラルに見えるもの、ファッションショーでみられるクラシックなもの、普段は使わないような色味を用いたアーティスティックなものなど。ベースメイクの説明から始まり、幅広いメイクアップ表現のパターンを学んでいきます。半顔ずつ、印象がリアルタイムにみるみる変化していくプロの技に、生徒の皆さんは釘付け。「眉毛は、特に流行が出る部分。最近では水平が流行しているけども、目頭と同ラインが始点、小鼻と目尻を結ぶラインが終点。3分の2が上がって3分の1は下がっているものがセオリーですね」「チークは頬骨の中心から載せて、頬骨にそって楕円を描き、徐々にぼかしていくとうまくいくと思います」「メイクが浮かないようになじませる行為、ぼかすという作業を大事にしてくださいね」と、化粧品や道具の使用法に加え、現在の流行やメイクアップの一般的な方法も具体的にご説明いただき、生徒一人ひとりのこれからの実践に備えます。




社会に提案したい美しさ
授業の後半では、「わたしが提案したい美しさ」というテーマで事前に制作してきた作品を発表していきます。他の生徒の作品から「どんな美しさを感じたのか」という感想を起点に、「どんな美しさを提案したかったのか」そして「なぜその美しさを提案をしようと思ったか」など、作品を通して様々なやり取りが生まれます。中には、「身の回りの人から自分の美意識を反対されることがある」という声も。

「ファンデーションから始めなきゃいけない理由はどこにもない。ここからは自由です」という計良さんの言葉で始まった後半。実際に生徒の皆さんが自分の顔にメイクを施していくため、SABFAさんのご協力のもと、色も質感も多種多様な化粧品やメイク道具が、生徒一人ひとりに貸し出されました。「ファンデーションの色が多すぎて自分に合う色が分からないです。どうやって見つければいいですか?」「いつもは自分の目の形を隠すようなメイクをしているんですが、逆に、活かせるメイクはありますか?」といった生徒の皆さんからの質問に、計良さんも丁寧に手を動かしながら答えてくださいます。初めてのメイクアップへの戸惑い、改めて自分自身を見つめ直して生まれる自己像、この環境だからこそ挑戦してみたくなる新しい表現など。三者三様の試行錯誤がみられました。


メイクアップを通して新しい自分と出会う
「外見と内面は繋がっています。内面が変わると外見も自ずと変わるように、逆に外見が変わると内面も変わります。強そうな、あるいは可愛らしいメイクをすると、自然と自分のキャラクターが変わっていく感じがしますよね。みなさんのなかには色々な自分がいるはずです。そうやって、新しい自分を発見してほしいです」と計良さん。メイクアップをきっかけにまだ見ぬ自分との出会いが訪れそうです。



次回は、「本当に欲しい、売っていなそうなもの」を作り出す
メイクアップの基礎技術を学びながら表現方法の幅を広げつつ、「新しい自分」というテーマにもふれていった今回。次回は絵描きの下田昌克さんをお迎えし、「自分が欲しい、自分を飾るもの」をテーマに作品を制作していきます。いよいよ「我美と作美」のクラスも折り返し。多様な美意識に触れてきたり、技術を身につけつつある生徒の皆さんが、どのような作品を作り上げるのか、楽しみです。

 

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