REPORT

「東京芸術中学」第66回 自分の星を見つける①


クリエーションの原点を探る
編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。2月19日は、ディレクターの菅付さん自身による講義が行われました。

今回の講義のタイトルは「自分の星を見つける」。どんなクリエイターにもロールモデルとなる人物やインスピレーションを提供している作品があるという菅付さん。今回は最前線で活躍しているクリエイターたちにとっての「星」のような人や作品と、クリエイターたち自身の影響関係を学びながら、生徒の皆さんそれぞれにとっての「星」のありかを探っていきました。


「星」を結びつけて、星座にしていくようなこと
授業の前半では、坂本龍一さん、村上春樹さん、宮崎駿さん、庵野秀樹さん、など、誰もが知るクリエイターの方々が10代の頃に出会って衝撃を受けた、現在のキャリアのルーツとなっている作品やクリエイターを紹介していきます。「ピアノの練習で弾いていたベートベンでもなく、普段から聴いていたビートルズでもなく」ドビュッシーの新たな音楽に引き込まれていったという坂本さん。10代の頃からレイモンド・チャンドラーによる小説の英語版を読んでおり、現在の文体の表現にもその影響を受けていると明言している村上さん。ウォルト・ディズニーによる『ファンタジア』を観てアニメーション表現の可能性を知ったという宮崎さん。そしてその宮崎さんの作品に多大な影響を受けたという庵野さん。それぞれルーツを探っていくと、どのようなクリエイターやクリエーションにもその原点となるよなものがあることが伺い知れます。

授業の後半では、菅付さんご自身の「星」を紹介。Yellow Magic Orchestraやtalking heads、Brian Enoらによる音楽作品から、『地獄の黙示録』をはじめとする映画。さらには雑誌『BRUTUS』まで。当時から様々なジャンルの中に「星」を見つけて、自分なりに意味を見出していたと菅付さんは言います。当時のその様子はすでに編集というクリエーションでもありつつ、バラバラの星を結びつけて自分なりの星座をつくっているようにも思えました。



これからもクリエーションを続けていくために
「これからクリエイターを目指す上でその指標となる存在は必要。逆にロールモデルがないと頑張れない。特に若い頃はなにから手をつけたらいいかわからないからこそ。星のように思える作品はどのように作られているのか。星のように思える人はどのような人生を歩んできたのか。自分の中に指標を捉えていくことが大切」と菅付さんからメッセージが贈られました。


「自分の星をみつける」
菅付さんご自身を含む多くの先人の「星」を体感した今回の授業を踏まえて、生徒のみなさんに出された課題は、「自分の星をみつける」というもの。「星」を見出すとともに、その理由を説明できるようにすることへの挑戦も求められます。個人的な理由、今の時代や社会においてそれが「星」と思える理由、歴史的な文脈の中でそれが「星」と思える理由。様々な視点でその根拠を見つめていくことの必要性も語られました。

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