REPORT

「東京芸術中学」第65回 クリエーションの拡大②


世代を超えていくクリエーション
編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。2月12日は、「クリエーションの拡大」と題された菅付さん自身による講義の2回目が行われました。

お金がなくても、技術がなくても、そしてコロナ禍でも。これまでの様々な制約の下で生まれた文化を参照し、これからのクリエーションのあり方を探っていった「クリエーションの拡大」の初回授業。続く2回目となる今回は、「人はなぜ、何かをつくって遺すのか」という大きなテーマに対して人類史的な観点でその根源をみつめていきました。



編集という人類の営み
授業では今回のテーマを踏まえ、古来から人類がつくり、次の世代へと遺してきたトーテムポールや寺院などの始原的なクリエーションに着目します。世界中に点在しているそれらは、異なる場所で異なる人によってつくられたにも関わらず形や構造が似ているそう。それは「次の世代へ何かを引き継いでいくという目的のために人類が導き出した共通の答え」であると菅付さんは言います。「何かをつくって遺すことは何かを伝えていくため。その行為はクリエーションであり、何かを伝えるためにその手段を導く編集という行為を経たものなんです」。人類は古来から編集という営みを続けてきたことを捉えていきました。



時代によって変わっていく手段と、変わらない本質
後半では編集という視点から現代のクリエーションの具体例を見ていきます。デジタルサイネージを利用した建築や現代美術館で行われるインスタレーション、そして菅付さん自身も携わったという音楽イベントや都市開発計画など、クリエーションの手段が多様化し、まさに「拡大」していく一方で、どんなクリエーションにも編集という行為が一貫して存在してきたことを改めて捉えていきました。

「何かをつくり、何かを遺すこと。それは未来を見据えたクリエイティブな行為。その手段はどんどん多様化し、これからもっと増えていくはず。しかし、どんな手段もその根幹となるのは、企画を立て、人を集め、モノをつくる、編集の力だと思います。それが今もこれからもクリエイティヴな世界で欠かせない力であり、その可能性を追い求めることが大切だと思っています」。最後には編集者である菅付さんから編集そのものの可能性についての言葉が贈られました。


これまでの試行錯誤の意味を再確認
数多くのクリエイターの講義を通して、様々な表現やその手段に挑戦してきた生徒の皆さん。今回の授業は、皆さんにとってこれまでの活動の意味を再確認し、これからの自身の表現に「編集」という視点からもう一度向き合う、そんな授業となりました。

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