REPORT

「我美と作美」第1回 美しさの個人史


メイクアップを通して多様な美をつくる
2022年最初の授業は、GAKUで新たにスタートした、「美しさ」とメイクアップのクラス「我美と作美」。様々な人がつくる「美」について学びながら、これからの美意識をつくっていく10代のみなさんが、メイクアップを通して自分にとっての「美」の表現や発信に挑戦します。

1月5日は、初回授業。メイン講師であるヘアメイクアップアーティストの計良宏文さん、ゲスト講師としてGAKUディレクターでもありファッションデザイナーの山縣良和さんをお迎えし、生徒自身の興味関心のルーツをみつめながら、ヘアメイクアップの世界の奥深さや仕事の幅広さを学んでいきました。





「美しいと感じるもの」を並べてみると浮かぶ自分の美意識
「今日のゴールは、自分の美意識に気づいてもらうこと」。そんな計良さんの言葉とともに、「私が美しいと感じるもの」の画像を選び、はじめましてのクラスメイトや先生方に発表するワークからはじまった初回の授業。

建築の曲線美、スポーツ選手の礼の作法、苔の質感、プリーツスカート、展示会で見た文章、天然石、ずっと応援しているアイドル、クラシック、空と雲、家族・・・。色彩、質感、規則性、所作のようなものから、心、言葉などのかたちのない要素までもを含めた、様々な画像が並びます。度々講師のお二人が「これはどこ?」「そこにこだわる理由は?」と、質問する場面も。選んだ画像についてのエピソードを聞くと、一見バラバラなようでどこか共通項があるように見えてきたり、奥底にあった気持ちも浮かんでくるように思います。


「新しい人間像を形づくる」という仕事
授業の後半は、山縣さん、計良さんそれぞれからの講義。お二人の作品を見ながら、ファッション、そしてこれから生徒のみなさんが挑戦するヘアメイクアップの世界の奥深さや幅の広さを学びます。

まずはファッションデザイナーの山縣さんによる講義。自身の仕事を「新しい人間像を提案すること」とおき、過去に手掛けたショーについて、コンセプトや、それを実現するための方法を実際の映像とともに説明してくださいます。「もともとファッションとは人間だけではなく、人間を取り巻く動植物や自然環境に対してのコミュニケーションツールでもあった」と話す山縣さん。ファッションを原点からみつめる山縣さんからは、人類史におけるファッションの始原にまつわるお話も伺いました。

続いては計良さんによる講義。パリコレクションや東京五輪のようなショー、広告におけるヘアスタイリング、時には発泡スチロールを削って作ったヘッドセットなど、計良さんの携わった作品に触れ、ヘアメイクアップアーティストという名前からは想像できない表現の幅広さを実感していきます。ヘアメイクアップとは「どういうふうに自分が存在したいかを表現するための行為」と話す計良さん。ヘアメイクアップの流行の変遷をたどりながら、時代や社会によって変わる美の基準についても学んでいきます。


歴史や社会を知りながらも「自分の美」をつくるために
山縣さんからは「自分が元々ダメだと思ってたことも、実はダメじゃない場所があったり、自分のネガティヴに思ってるところも、見方や考え方を変えたら全然違うこともある。物事を多面的に捉えた方がいいかなと思いますね」と、計良さんからは「今までお話ししたのは、過去に誰かがつくってきた美の価値観です。だけどもしかしたらこれからまた変わるかもしれないから、みんなが美しいと思うものを表現してほしい」と、全7回の軸となるような言葉も贈られました。



「我美と作美」は、全7回の授業をとおして、10代がヘアメイクアップを通して自分なりの美を実際に表現していきます。そもそもヘアメイクアップの仕事とはどのようなものか。そして、そこにどのような技術や感性が求められるのか。歴史や社会によって変わるものと変わらないものはなにか。初回の授業では、今後の生徒自身による表現や発信のために、必要な要素が込められていたように思います。次回は、メディア環境学者の久保友香さんによる「美しさと社会」。社会や歴史によって変わる美の基準を体験しながら学び、価値観の移り変わりや多様さについて深堀りしていきます。

 

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