REPORT

「世界のどこでも自分の家になるモバイルハウス『動く家』」第6回 「Karimoku Commons Tokyo」出張授業


カリモク家具のショールームで特別授業
世界的建築家・伊東豊雄さんが主宰する「伊東建築塾」による「世界のどこでも自分の家になるモバイルハウス『動く家』」。講師を務めるのは、o+hの百田有希さんと大西麻貴さん、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんです。

モバイルハウスの実現に向けた課題や新たなインスピレーションが生まれた前回の中間発表会。12月26日(日)に開講された第6回では、カリモク家具のショールーム「Karimoku Commons Tokyo」への出張授業を実施。木材の種類によって異なる特性や日本の林業の現状を学びながら、後半では、実際に製品として販売されている家具に触れ、素材の使われ方や構造を細かく見ていき、自分たちの製作をより具体的にイメージしていきました。

 


使いながら育てる、自然の循環とともに育まれるクリエーション
授業前半では、カリモク家具の加藤洋さんによる講義が行なわれました。「『木を切ること』そのものが環境に負荷をかけていると思われがちですが、日本のほとんどの森林は、人間が使い、育てることで循環している。カリモクでは、そんな自然環境のサイクルに合わせて、30〜50年後も使える家具つくりを目指しています」木材を取り巻く環境問題に触れながら、「無駄なく、長く、大切に使うこと」をコンセプトとしたカリモクの様々な取り組みを紹介。通常であれば捨てられてしまうような虫に食われた木を活用した家具や、端材を使った子どもの遊び道具まで。この授業で自分たちが扱う木材についての理解を深めながら、実際にカリモクの方々が課題に向き合う姿勢や方法を学んでいきます。

後半では、モバイルハウスでそれぞれが実現したい居心地の良さや暮らし方を思い浮かべながら、実際に家具や木材に触れていきます。重さや色味が異なるいろんな種類の木を比較したり、職人さんが家具に合わせて選んでいるという金具やクッション材から、家具の構造を観察したり。「この素材ってどの部分に使われているんですか?」「木の種類や薄さってどうやって決めていますか?」「こんなモバイルハウスを作りたいんですけど、、、」家具づくりのプロフェッショナルであるカリモクスタッフの方々に、製作のための具体的な質問をどんどんぶつけていきながら、アイデアを実現するための思考が深まっていったようです。

 


自分も地球も「心地よい」と感じる家
「今日座った椅子の座り心地は、自分の家の椅子と比べてどうだった?もし違いを感じたとしたら、それはなぜだろう?そんな風に、日々の暮らしの中でも、触れるものの『心地よさ』に意識を向けながら生活してみよう。そこで生まれた気づきを蓄えていくことで、自分がモバイルハウスの中で実現したい暮らしや、そのための構造も具体的になっていくはずです」と廣岡さん。

「世の中で使われている素材には、木のように育てられるものもあれば、鉄やガラスのように地球を掘って生み出す、育てられない素材もある。育てられる素材は使いながら育てて、循環させていく。育てられない素材は、環境を考えながらどのように大事に使っていくか、ということが大切です。自分の居心地の良さだけではなく、地球環境のことも考えながら、モバイルハウスを作ってみて欲しいなと思います」と百田さん。最後には講師のお二人から、今後の制作の足がかりとなるようなコメントをいただき、授業が終了しました。

 


次回は、身の回りの素材から生まれるものづくりを体験
素材の背景に着目しながら、実際に家具や木材に触れることを通じて、それぞれが実現したいモバイルハウスでの暮らしやそのための構造を具体的に考えるきっかけとなった今回。次回の授業では、身の回りの素材を活用して自ら施工されて作られている、廣岡さんのご自宅を訪問。牛乳パックや豆腐パック、葉っぱなど、身の回りの材料を使うことで生まれる自己流のものづくりに触れながら、実際に手を動かしていくための方法を学んでいきます。

 

「世界のどこでも自分の家になるモバイルハウス『動く家』」クラスページはこちら