REPORT

「遊びのアーバニズム実践学2022」第5回〜第6回 まちのリサーチ

日本橋横山町・馬喰町を舞台にした演習が始まる
街を舞台に、「遊び」を通してリアルな都市空間や建築デザインを学んでいく「遊びのアーバニズム実践学」。建築家の海法圭さん、津川恵理さん、建築リサーチャーの川勝真一さんからなるプロジェクトチーム「Town Play Studies」と、東京理科大学理工学部建築学科西田研究室の学生の皆さんとともに、全10回の授業を通して「遊び」からこれからの都市や街のあり方を考えていきます。

まちにおける様々な遊びを実際に体験しながら、遊びという行為が持つ建築や都市計画における意味や意義を捉えていった前半の第1〜4回の授業。ここからは、古くからの問屋街である日本橋横山町・馬喰町を舞台にした演習型の授業を進めていきます。ドラスティックに変わりつつあるまちのこれからを考えるために、エリアの可能性を最大化するような遊びを作り出すことに挑戦していきます。

 

都市計画や都市デザインにおけるリサーチの重要性
日本橋横山町・馬喰町での初回となる2月4日(土)は、第5回と第6回の連続授業が行われました。

「20世紀型の開発重視の都市計画や都市デザインをいかに乗り越え、いまある空間を楽しく使いこなし、環境を改善し、生き生きとした人の居場所を作り出すこと」が目指されているこの授業。そのためには、これまで体験してきたような遊びの感性を活かしたリサーチが重要となってくると、リサーチャーの川勝さんは言います。そして、そのプロセスの中では、「リサーチとデザインをぐるぐると反復させていく」ような地道な検証を重ねていくことが大切だと言います。だからこそ今回の授業では、2コマ分の授業を通して、リサーチとしてのフィールドワークとそれらを踏まえた体験のデザインを考案する両方の機会が設けられました。

 

街に身を置くことで見えてくること
フィールドワークでは、周辺の地図を手に街へ繰り出し、まずは生徒の皆さんがそれぞれに、街並みをじっくり観察していきます。

「ダンボールや台車が、店内だけでなく街中にたくさん置いてある風景が新鮮。他の街だったら撤去されたり迷惑がられたりするかもしれないけど、ここでは当たり前のように馴染んでいるのが面白いし、問屋街ならではの街並みな気がする」「昔ながらの建物や看板が多いけど、でも所々に急に新しい若い人向けのお店が現れる。古いものと新しいものがごちゃ混ぜになっているのが特徴的」「歩道と車道が、段差ではなく地面の色で区別されている。それは、台車で荷物を運ぶことが多い問屋街ならではの特徴なのかな」と、フィールドワークを経ての個々の気づきを交わし合いつつ、それらを付箋に書き出して分類分けしていきます。それぞれの身体を通した発見や興味が集まることによって、この地域ならではの特徴がそのリアリティを持って浮かび上がってくるようでした。

 

人と街との関わり方を変化させるアイデア
フィールドワークを踏まえて、生徒の皆さんへ課せられたお題は「YES SIGN」。例えば、公園の看板などでは、ボール遊びや焚き火などの禁止事項が並んでいますが、それらとは異なり、人々の行動を許容したり後押しするためのサインを考案することが求められます。

街の魅力や特徴を活かし人々の行動を誘発するという、体験をデザインするという視点が必要となりますが、「道の標識の部分を使って問屋さんの商品をディスプレイしてOK」「道にたくさん置いてある台車を、ご近所さん同士でシェアしてOK」「建物同士の隙間が薄暗くて居心地が良いから、仕事の息抜きに昼寝してOK」など、生徒の皆さんからは遊び心のある様々なアイデアが溢れました。

さらには、実際にそれぞれの「YES SIGN」を設置したい場所へ訪れ、アイデアの実践と検証も行いました。「やってみると、結構楽しい!」「街の使われ方が変わりそう」「街の風景が面白くなりそう」と、自分たちのアイデアで、人々と街との関わり方や、街そのもののあり方に影響を及ぼせそうな手応えを感じることができた機会でした。

 

次回は、「この街の可能性を最大化する遊び」を考えるグループワーク
都市デザインや都市計画におけるリサーチの重要性を学び、街の中で実践していった今回。それらを踏まえ次回の授業では「この街の可能性を最大化する遊び」を本格的に考えていくためのグループワークを進めていきます。

 

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