「この町を大事に思えるキオスク」第9回 製作②
手を動かしながらアイデアを磨いていく
「この町を大事に思えるキオスク」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師には、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さんをお招きし、11回の授業を通じて実際に暮らしのなかにある売店「キオスク」のアイデアを実現していくことを目指します。
創作の舞台となる渋谷川沿いに改めて赴き、キオスクが実際に展開される様子を具体的に思い描いていきながら、それぞれがアイデアを磨いていく手がかりを掴んでいった前回。それらを踏まえ2月5日の第9回授業では、約1ヶ月後に控える最終発表会に向けて模型のブラッシュアップを進めていきました。
考えては作り、作っては考えて、作り直す
自分の「キオスク」のアイデアは、そもそもどのような人の営みを生み出したかったのか。その営みを後押しするための造形として、現在のアイデアが本当に適切なのか。現地でのフィールドワークを経て、生徒の皆さんそれぞれが自分のアイデアを改めて検討していきます。
「街なかにDJブースを作って、訪れた人が自由に音を鳴らしたり踊ったり、気軽に参加できるような空間をつくりたい。でも実際に現地に行って想像してみたら、ただそれが置いてあるだけでは参加しにくいなと思った。どんなしつらえにしたら、敷居を下げることができるだろう?」「箱状のキオスクをいくつも置いて、ベンチにしたりお花をいれて販売したりと、人がゆったり過ごせるような空間をつくりたい。そのためには敷地の大きさに対して、どのくらいのスケール感がちょうどいいのだろう?」といった生徒の皆さんそれぞれが感じている課題を、講師の方々や建築を学ぶ大学生や社会人からなるTAの皆さんとの対話を通して深めていきつつ、考えては作り、作っては考え、模型を手直ししながら少しずつアイデアを磨いていきました。
自分の創作をやり切るために
自由に発想を広げることと、それを実際の形に落とし込んでいくこと。一見矛盾しているような二つを同時に考えながら作り進めていくからこそ、手を動かせば動かすほどに新たな発想やこだわりが浮かび上がり、なかなか製作に終わりは見えません。
だからこそ授業の中では締め切りが設けられ、講師の方々はその限られた時間の中でそれぞれが最大限に自分の創作をやりきれるように全身全霊でサポートをしてくれます。「模型はとにかく、土台をしっかりつくること。自分の納得のいくものに仕上げていけるように、心を込めて最後までつくり切ろう!」と佐藤さん。それぞれの課題を持って引き続き個人製作を進めていく生徒の皆さんへの激励の言葉で授業が締めくくられました。
次回は、発表会前最後の製作
次回は、発表会前最後の授業。それぞれが模型製作を進めていきながら、アイデアを自分なりに伝えていく方法も検討していきます。