REPORT

「ものがたりとものづくり」 作品展示会


「ものがたり」から生まれた「ものづくり」
2022年12月から2023年4月まで開催された全11回のプロダクトデザインのクラス「ものがたりとものづくり」。講師にはプロダクトデザイナーの岩元航大さんを迎え、授業前半にはGAKUでのエスキス制作、授業後半には岩元さんの主宰するデザインスタジオ「スタジオ発光体」での模型制作を行いました。そのようなプロセスを経て7名の生徒が考えたアイデアが、カリモク家具による実物大のプロトタイプとして実制作が叶いました。

そこで、それらの作品を集めた展示会を開催。7月31日(日)には、展示会場に生徒のみなさん・岩元さん・カリモク家具のみなさんが集まり、プロトタイプ制作のプロセスやそこにおける創意工夫について確認をし、学びを深めていく機会となりました。











「もの」と「ものがたり」が一堂に会する
生徒のみなさんによる実寸模型、そこから制作されたプロトタイプ、これまでの授業のレポートドキュメントや映像、使用された「ものがたり」を持った木材のサンプルなど。会場には、「ものがたりとものづくり」に関連する様々な「もの」が集まりました。

今回の展示は会場構成や什器のデザインも岩元さんによるもの。「ものをつくるだけではなく、どう見せていくのか」、プロダクトデザイナーとしての仕事の広がりをその場で体感できる空間となりました。





プロダクトデザイナーという仕事の広がり
生徒のみなさん、岩元さん、カリモク家具のみなさんが会場に集まった当日は、これまでの授業と制作を振り返り、それぞれの工程に意味や意義を再確認する機会となりました。

まず会場に並ぶカリモク家具さんによるプロトタイプの仕上がりに目を奪われる生徒のみなさん。講師の岩元さん、岩元さんと二人三脚で制作を担当してくださったカリモク家具の富田さんから、それぞれの作品に凝らした工夫や、制作を進める上で見つかった課題など、現場の声も一人一人に丁寧に届けられます。

富田さんからは「ものづくりに対する素直な気持ちがデザインにもあらわれていました。その気持ちを大事にし続けて欲しいです」というエールと共に、「木を植える人、木を選ぶ人、木を製材する人、図面を描く人、図面を形にする人などなど、みなさんのデザインからこの模型をつくるためにたくさんの人が関わっています」というコメントも。生徒の皆さんが体験したプロダクトデザイナーという仕事を起点に様々な仕事に広がり、一つのものづくりが成り立つことを肌で感じていきます。





これからの「ものづくり」のあり方を考える
これまで全11回の授業と作品展示会を含め約8ヶ月間クラスと伴走してくださった岩元さん。「たくさんのもので溢れかえるこの世の中。プロダクトデザイナーとして大切なことは、長く使えるものをつくること。大切なのはデザイン性や機能性だけではなく、そこにものがたりがあること。扱う素材の『ものがたり』も、素材を手がける人々の『ものがたり』も、ものづくりのプロセスのなかでしっかり捉えた上で取り組んでいって欲しいと思います」と、授業の最後には未来のものづくりを担う生徒のみなさんにエールを贈ってくださいました。

「作りたいものが先にあり、そこに素材を当て込んでいく手法を少し横においておいて、今ある素材に宿る物語に触れ、プロダクトとして形づくっていく」という、これからの時代のものづくりを実践していく試みでもあったこのクラス。その可能性を育んでいくような時間となりました。

 

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