REPORT

「CO-CURATING」第7回 ケーススタディ②


展示企画のケーススタディとして展覧会を訪れる
「CO-CURATING」はキュレーターの髙木遊さんと岩田智哉さんによる、キュレーションをテーマとしたクラス。アーティストの方々とも交流を重ねながら、全11回の授業を通して生徒全員で企画展を作り上げていきます。

生徒の皆さんそれぞれがアーティストに向けたレター(出展依頼文書)を書き上げ、実際にお送りしていった前回。そのお返事を待ちつつ7月30日(日)の第7回では、展示企画の参考にすべく現在開催中の展覧会を訪問していきました。

 


髙木さんキュレーションによる「小松千倫個展『Sucker』」
今回訪れたのは、講師のお二人が運営するオルタナティブスペース「The 5th Floor」で開催中の、髙木さんがキュレーターを務める「小松千倫個展『Sucker』」。

高木さんが寄せたテキストであるステートメントに書かれている通り、展示されているのは「空間の壁自体が音響装置となり、1時間のサウンドが1日に7回再生される。そのサウンドは会期中全ての日程ごとに異なる」サウンド作品。絵画や写真といった視覚的なものではなく、聴覚的な作品を鑑賞することは生徒の皆さんにとってとても新鮮だった様子でした。

 


展示企画と照らし合わせながら、作品鑑賞に向かっていく
生徒の皆さんは、会場での作品の設置のされ方、来場者の導線のつくり方、キャプションなどのテキストの置き方といったキュレーションのあり方にも着目しながら、展示鑑賞を進めていきました。

「何もない真っ白な部屋の中で立ったり座ったり寝転がったりと、鑑賞者それぞれの自由な体勢で鑑賞できる。同じ空間の中でも鑑賞する位置や体勢によって作品の聴こえ方が全く違った。いろんな姿勢や距離で鑑賞できる状況をつくることで、作品の見え方や解釈を広げることができるかもしれないことに気づいた」「靴を脱いで会場に入ることを通して、リラックスして作品を鑑賞できた。鑑賞するというよりも『過ごす』という体験に近かったかもしれない。それは作品の見え方にも自然と繋がっていくと感じた」「展示空間内に作品キャプションやハンドアウトといった文字情報が一切置かれていなかった。情報をできるだけ減らすというキュレーションの方法もあることを知った」と、生徒の皆さん。自分たちが進めている展示企画と照らし合わせながら作品鑑賞に向かっていくことで、様々な発見があったようです。


次回は、「キャプション」のあり方を学ぶ
次回の授業でも引き続き展示企画を進めつつ、レターの次のステップのテキストワークとして、「キャプション」について学びます。作品にどのような言葉を添えるべきか。または添えないべきなのか。企画展において作品と言葉の関係性を吟味しながら、鑑賞者に向けて言葉を綴ることの重要性を捉えていきます。

 

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