REPORT

「この町を大事に思えるキオスク」第6回 中間発表

これまでの成果の発表を通してアイデアを磨く
「この町を大事に思えるキオスク」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師には、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さんをお招きし、11回の授業を通じて実際に暮らしのなかにある売店「キオスク」のアイデアを実現していくことを目指します。

12月18日(日)の第6回は、これまでの授業を通してそれぞれが検討を進めてきたアイデアの中間発表会。講師の廣岡さんと佐藤さんに加え、伊東豊雄さん、そして今回の創作の舞台となる渋谷川沿いエリアの運営を担う東急株式会社の吉澤裕樹さんを講評者にお迎えし、生徒一人一人へ、これからの制作に向けたフィードバックをいただきました。

 

アドバイスに耳を傾けると自分が大切にしたいことが分かってくる
手を動かしながら自由に発想を広げること。実際の敷地を訪れ、身体を通してインスピレーションを受け取っていくこと。「こんな商いがあったら楽しそう」「自分だったらこんなふうに過ごしてみたい」といった個々の素直な気持ちを大切にしながら、「この町を大事に思えるキオスク」を構想してきたこれまでの授業。

今回の中間発表では、模型やスケッチとともに制作過程での様々な創意工夫が語られます。「渋谷の街には余白がなく窮屈に感じる。だから、川沿いにみんながくつろげる場所をつくりたいな。ぶどうを栽培することで、ツタの陰で休憩をしたり実ったぶどうでジュースを作ったり。のんびりできる空間にしたい」「川の上に音楽を演奏するステージをつくりたい。いろんな人が自分の音楽を発表する機会や川を身近に感じるきっかけを生み出せたらいいな」「川沿いのてすりを利用した商いを考えてみたい。『安全を守る』というだけではなく、人を楽しませるものとしても活用できるのではないかと思った。手すりに商品や作品をくっつけて販売したら、歩くことそのものももっと楽しめるのではないかな」と、生徒の皆さん。それぞれの想いや身体感覚が起点となって考えられているからこそ、様々な「キオスク」のアイデアが広がっています。

「他の場所ではなく、この場所で商いをする意味ってなんだと思う?商いをすることでこの場所に訪れた人の振る舞いはどのように変わっていくかな。街との関係を具体的に想像してみよう」「目的を絞っていくことで、逆にその空間での活動は広がっていくことがあります。手を動かしているとやりたいことがどんどん出てきてしまうけど、その空間で一番大切にしたいことを改めて考えて、それが最大限に実現できるような形を考えてみよう」など、講評者の方々による生徒一人ひとりへの問いかけを通して、アイデアをより深めていくための糸口をそれぞれが掴んでいったようでした。

  夢を広げること、実現をすること、その両輪で考える
最後に伊東さんからは、「みんなのびのびと発表していて、とても良かったです。これからの授業で考えていってほしいのは『自分がそこに居る』ということ。自分がその場所で過ごす時に、川や、周りの環境とどのような関係であったら一番良いと思えるだろうか。自分の身体感覚を繊細に感じながら、周りとの関係を考えていくと提案はもっと良くなる。夢を大きく広げながら、同時にそれを実現することも諦めずに考えていって欲しいと思います」というコメントも。自分の身体感覚を研ぎ澄ませながら、夢を広げつつ、実現の方法も考える。生徒のみなさんが挑戦している課題に、講評者の方々からエールが贈られ、授業が締めくくられました。

 

次回は、アイデアを深めていくための作戦会議
講師の方々によるフィードバックとともに他の生徒の作品を通して、新たな課題やインスピレーションが生まれていった今回。今後の授業では、約2ヶ月後に控える最終発表会に向けてアイデアのブラッシュアップを進めていきます。そのために次回の授業では、講師やTAの方々と生徒一人ひとりとの作戦会議の場を設けることでアイデアを仕上げていくためのそれぞれの課題を明確にしていきます。

 

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