「この町を大事に思えるキオスク」第5回 エスキス③
中間発表前の最後の「エスキス」
「この町を大事に思えるキオスク」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師には、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さんをお招きし、11回の授業を通じて実際に暮らしのなかにある売店「キオスク」のアイデアを実現していくことを目指します。
12月5日(日)の第5回は、中間発表会前の最後の授業。伊東豊雄さんや創作の舞台となっている渋谷川沿いを管理している東急株式会社の方々なども講評者として登壇される発表会に向け、それぞれの生徒が模型を仕上げていきました。
敷地で感じたことやこれまでの学びを改めて思い起こす
創作の舞台となる渋谷川沿いのエリア。航空写真を広げ、生徒それぞれが「この町を大事に思えるキオスク」をつくりたい場所を改めて確認します。「ここで商いをしたい」と感じることができたファースト・インプレッション。「売る人や買う人の喜びになるという『商い』を後押しする空間のあり方へのリサーチ。これまでの学びを改めて思い起こしながら、制作を進めている模型と実際の敷地のことを同時に頭に浮かばせながら、より良いエスキスに向かっていきます。
試行錯誤が終わらない模型づくり
考えることとつくることの両面を大切にしているからこそ、制作が進めば進むほど新たな発想や課題点も浮かび上がっていきます。それはまさにものづくりの醍醐味でもあり、難しさでもあります。講師の方々や建築を学ぶ学生等からなるTA(ティーチングアシスタント)の皆さんは、そんな生徒一人ひとりに寄り添いつつ、真正面から向き合い続けてくれます。
「読書を楽しめる空間。その空間の中で一番大切にしたいのは本を売ること?それとも読むこと?もし本を売ることが目的であれば、本棚や、本を置く場所を作る必要があるね。人の手で移動させる建築物にするなら、運べる物量が限られているから工夫が必要だよね。というふうに、目的を絞っていくことから、その建築に必要なものを整理してみよう」「自由に発想することと実現性を考えながら形にすること。それを両方やるのは本当に難しいこと。でも、いい建築をつくっていく上ではどちらも必要なものです。だから、実現が難しいと思ってもすぐにアイデアを諦めないで。その部分は、どうやって形にするかを一緒に考えていこう。迷っているところは一旦別のものに置き換えて進めてみよう」と、それぞれのアイデアや想いに深く踏み込んだアドバイスも講師の方々から贈られます。
模型づくりは、手直しの連続。試行錯誤はなかなか終わることがありません。とはいえ、そのプロセスの中で、生徒のみなさんもアイデアをより良く表現するための言葉が磨かれていくようです。だからこそ、中間発表では模型の造形的な側面だけではなく、生徒のみなさんそれぞれが自分のアイデアをどのように表現していけるかという点にも着目したいところです。
次回は中間発表
次回の中間発表では、完成した模型とスケッチをもとに作成するプレゼンボードとともに、生徒それぞれの考える「この町を大事に思えるキオスク」を発表していきます。「つくり足りない気持ちもあるかもしれませんが、今の精一杯のアイデアや想いを伝えていきましょう。僕らも緊張しています。一緒に頑張ろう!」と、授業の終わりには廣岡さんから次回に向けたエールの言葉が寄せられました。