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「世界のどこでも自分の家になるモバイルハウス『動く家』」第7回 廣岡周平さん自邸見学


廣岡さんの作品でもある自宅を訪ねて学ぶ
世界的建築家・伊東豊雄さんが主宰する「伊東建築塾」による「世界のどこでも自分の家になるモバイルハウス『動く家』」。講師を務めるのは、o+hの百田有希さんと大西麻貴さん、PERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんです。

前回の授業では、カリモクのショールームを訪問。木材の特性に注目しながら実際に製品として販売されている家具に触れ、素材の使われ方や構造を細かく見ていきました。1月16日(日)に開講された第7回は、廣岡さんの作品でもあるご自宅にお伺いしての出張授業。身の回りの素材を活用して自ら施工して作られている家からは、モバイルハウスづくりのヒントがたくさん。廣岡さんのものづくりに対する考え方や家を作り上げていく上での創意工夫に触れていきました。

 


身近な素材と技術から生まれるものづくり
「建築家が大家さんになったら、居心地よく暮らすための家の使い方や周辺の環境を暮らす人と一緒に、より豊かに考えていけるんじゃないか」という思いをきっかけに、暮らしながら家を作り上げていく活動を始めた廣岡さん。建築家として設計を行なうだけではなく、「施工」もほとんどご自身で行なっていること。周辺の環境や暮らしの中で集めた材料を、家の資材として活用している廣岡さんの家づくりに共通するのは、「簡単な技術や身近な材料でも、居心地の良さは実現できる」という考えだと言います。授業の前半では、実際に家を作り上げていったプロセスや廣岡さんの「家」そのものに対する想いを通して、廣岡さんのものづくりの哲学に迫っていきました。

後半では、廣岡さんに解説いただきながらご自宅を見学。豆腐パックを使って型を取ったタイル。牛乳パックを敷き詰めたイス。部屋に開放感を持たせるために、反射板としてアルミホイルを活用した天井など。身の回りのものを通常の用途とは異なった視点から捉え、家の資材として活用している実例に触れていきます。家の至るところにある創意工夫を見つけていきながら、「なぜこの素材を使用したのですか?」「どういう時にアイデアが浮かんできますか?」と、質問が絶えない生徒の皆さん。これから自分たちのアイデアを実現していくにあたって、手を動かしながらひらめきを形にしていくことを学んでいったようでした。

 



「自分で作ってみる」という選択肢を持つこと
「実際にみなさんがモバイルハウスを作り上げていく時、必ずしも自分でできるような簡単な技術だけで作ることを想定しなくていい。でも、自分がモバイルハウスで実現したい心地よさを作り上げる方法は、もしかしたら誰でもできるような技術や身近なものを使って生み出すことができるかもしれない。その可能性も頭に入れながら、モバイルハウスの構造を考えていきましょう」最後には廣岡さんから、次回の制作に向けたコメントをいただき授業が終了しました。

 


コツコツ積み重ねると、ちゃんと形になる
家は自分でつくれる。それはとてもシンプルではありますが、インパクトをもったメッセージとして響いていたようです。家という存在を改めて捉え直したり、「つくる」という行為の地道なプロセスや積み重ねた後のスケール感を実際に体感した今回の出張授業。それらを踏まえて次回以降の授業では、模型制作やスケッチを通してそれぞれのアイデアを実現するための具体的な方法や手段を考えていきます。

 

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