REPORT

「グラフィックデザインのパトス」第6回 拡張としてのデザイン(後半)

自分のシンボルになるロゴデザインを考える
様々なグラフィックデザイナーとともに、手を動かしながら全11回の授業を通して視覚表現を学んでいく「グラフィックデザインのパトス」。3月18日は、ビジュアルアーティストの平野正子さんによる後半の授業です。

前回の授業では、文字デザインを中心に、平野さんの創作物やそのインスピレーション源に触れ、発想を広げていくためのリサーチへの情熱や大切さを体感していきました。それらを踏まえ平野さんから提示された課題は、「自分のシンボルになるロゴ」を作り上げること。今回の授業では、その課題発表が行われました。

 

表現の仕方も、自分自身も、拡張させていくようなロゴデザイン
「自分で決めたわけではないけど、名前は私の大切な要素。自分の名前について改めて考えてみたら、実は今の自分を象徴するものかもしれないと思った。名前の漢字1文字に、現在の自分らしさのようなものを混ぜ合わせながらロゴを考えてみました」と、自分のルーツを遡りながら形を想像していく生徒。「自分とは何かがよくわからないから、逆に自分と正反対だと思う人格を想像し、そこからロゴデザインを考えてみました」と、自分の外側にある要素から自分のあり方を見つめてみる生徒。中には、「色々なアーティストのCDジャケットやグッズを調べていったら、自分の作ったロゴもいろんなものに展開をさせてみたくなり、ロゴを使った架空のCDジャケットやキーホルダーを作ってみました」と作ったロゴを色々な形に発展させていく生徒も。作り上げられた作品とともに、その過程での深掘りや創意工夫が語られていきます。

「今自分が持っているものだけで表現を完結させないこと」という前回の平野さんの言葉を実践するように、ロゴデザインを通して生徒の皆さんそれぞれが自分なりの表現の拡張のさせ方を探っていく機会となりました。

 

作った後の展開もとことん想像する
「それぞれ切り口が全く違って、発表を聞いていてとても面白かった!ロゴデザインというものは、一つのデザインが色々な大きさや用途で幅広く使われていくもの。だからこそ、コンセプトをちゃんと捉えつつも様々な場面で応用ができることがとても重要。一度形を作ったら、完成したロゴをどのような形で展開させていくか?拡大縮小した時にちゃんとロゴとして成り立つか?など、実際に運用した時の様子を想像することで、どんどん最適な形を探っていけるはず」と平野さん。インプットとしてのリサーチとともに、アウトプットした後の使われ方や見え方の徹底した吟味や検証。とことん「パトス(情熱)」を尽くしていく姿勢に、生徒のみなさんも感化されている様子でした。

 

次回は、コンセプトをビジュアルとして「翻訳」するための方法論を学ぶ
次回はグラフィックデザイナーの岡﨑真理子さんによる初回の授業。「翻訳としてのデザイン」というテーマのもと、現代アートの展示会や舞台芸術に関わるデザインを多く手がける岡﨑さんの様々な創作とそこに至るまでのプロセスに触れながら、コンセプトやテーマを自分なりに解釈し、ビジュアルとして「翻訳」するための方法論を学んでいきます。

 

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