「グラフィックデザインのパトス」第2回 挨拶としてのデザイン(後半)
「自分かも?」を一枚の紙の上に表現する
様々なグラフィックデザイナーとともに手を動かしながら全11回の授業を通して視覚表現を学んでいく「グラフィックデザインのパトス」。1月21日は、メイン講師の前原翔一さんによる授業の後半です。
前回の授業では、前原さんと一対一での対話を重ねていきながら、生徒の皆さんそれぞれがこれからの創作に向かうための核となる「自分かも?」を探っていくような機会になりました。それらを踏まえ、前原さんから提示された課題は「ポートレイトカード」を作ること。テーマの深掘りや表現手法や画材選びまで。生徒の皆さんそれぞれが自分なりの方法を模索し、一枚の紙の上に表現することが求められます。今回の授業では、その課題発表が行われました。
自分の方法で、自分を表す
「大切なのは、全力で向き合うことと楽しむこと。今の自分を出し切れたなら、失敗しても、あんまりうまくいかなかったとしても大丈夫。はりきって発表してみましょう!」という前原さんの言葉とともに発表がスタート。
「自分は生き物の『痕跡』にとても興味があることに気づき、そこから自分自身を表現してみたいと思った。絵の具を紙の上でストローで吸って吐くことで現れたイメージを使って、まだみたことのない『痕跡』をつくってみました」「私は『かわいい』ものが好き。自分の好きな『かわいい』とは何かを追求してみたら、パステルカラーとネオンカラーの組み合わせにかわいさを感じていることに気づいた。その色の組み合わせを使って自分自身を表現しました」「自分がまだなんだかよくわからない。でもその曖昧さそのものが自分かもしれないと思い、布に絵の具を滲ませたりグラデーションをつくったりして自分のふわっとしているところを表現してみました」と、生徒の皆さん。
「自分かも?」を見出すこと。それを色や形に落とし込んで表すこと。作品とともに、それぞれの創意工夫が語られました。
自分の視点を豊かにしていくということ
「自分自身のことも、深く向き合ってみるといろんな側面があることに気づいたと思います。物事には色々な捉え方がある。だからこそ、見方を変えることがデザインにつながってくる。『見方をふやす』ということを、今後の創作の中でも意識してもらえるといいなと思います」と、前原さん。これから約半年間を通して、手を動かしながらデザインと向き合っていく生徒の皆さんへのエールの言葉で授業が締めくくられました。
次回はデザインにおける「編集」を学ぶ
次回はアートディレクターの脇田あすかさんによる第1回目の授業。「編集としてのデザイン」というテーマのもと、ビジュアルブックを中心とした脇田さんのこれまでの創作物に実際に触れながら、デザインにおける「編集」の考え方を学んでいきます。