REPORT

「東京芸術中学(第2期)」 第23回 イメージの編集②


イメージづくりのプロセスを紐解く
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。10月21日は菅付さんによる講義「イメージの編集」の2回目の授業です。

「『わからない』イメージを通して人々を触発することが肝心。簡単には消費されないイメージにこそ価値があるんです」というメッセージが贈られた前回の授業。イメージが持つ働きを捉えていった前回に続き、今回は様々なクリエイターを実例にあげながら、イメージづくりのプロセスを紐解いていきます。




「すでにあるイメージ」から「新しいイメージ」をつくる
授業冒頭、「新しいイメージは、すでにあるイメージの組み合わせである」と言う菅付さん。映画監督のクエンティン・タランティーノ、写真家の森村泰昌、ファッションデザイナーのデムナ・ヴァリアなど、一線で活躍する様々なジャンルのクリエイターたちの作品を実例として見ていきます。タランティーノによる映画作品『Kill Bill』なら『少林寺三十六房』、森村泰昌による写真作品『私の妹のために』ならシンディ・シャーマン、デムナが手がけたBALENCIAGA2017春夏コレクションならMaison Margiera。それぞれの作品の「元ネタ」を探っていくと、中には、生徒の皆さんも一度は目にしたことがあるような、世の中をすでに魅了してきた作品や作家も挙げられます。

タランティーノのように1つの映画の中に何十個もの「元ネタ」を仕込むなど「元ネタ」同士を複雑に組み合わせたり、デムナのように内戦状態にあった母国のファッションシーンを引用するなど自分自身のパーソナルな記憶と組み合わせたり、それぞれのクリエイターが「すでにあるイメージ」をいかに「新しいイメージ」につくり変えていったのか、その方法も1つ1つ探っていきました。


アーカイヴをつくることの大切さ
「生まれつき天才はいない。大切なのは、生まれてから豊かなアーカイブをどれだけ蓄えられるかなんです」。菅付さんから生徒の皆さんに贈られた言葉は、大切であるからこそ、芸中の授業では何度も繰り返されている言葉。その意味を改めて噛みしめる時間となりました。


次回は、「DOMMUNE」を紐解いてアーカイブやメディアについて考える
次回の芸中は、2010年から一貫してライブやDJパフォーマンス、それらにまつわるトークなどの配信を続けるライブストリーミングスタジオ「DOMMUNE」主宰の宇川直宏さんがゲスト講師。5,000番組以上ものアーカイヴをつくりあげてきた宇川さん。今回の授業の学びとも繋がっていきそうです。

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