「東京芸術中学(第2期)」 第22回 片山正通さん
渋谷パルコを舞台にインテリアデザインを学ぶ
編集者・菅付雅信さんと13人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。10月15日(土)は、インテリアデザイナーの片山正通さんによる1回目の授業です。
今回の授業では、片山さん自身の生い立ちからインテリアデザイナーを目指した理由、これまでに手がけてきた作品の数々を講義形式でご紹介。片山さんご自身の人間観とそのクリエーションに触れていきます。また、GAKUを飛び出し、片山さんガイドによるPARCO館内ツアーも。「インテリアデザイナー」という視点から解説いただきながら、その仕事のあり方に様々な角度から触れていきました。
インテリアデザイナーの思考プロセスに触れる
「みんなが普段行っているカフェもショップも、様々な空間をデザインするのがインテリアデザイナーの仕事です」。そんな片山さんの一言から講義はスタート。では、なぜ片山さんはこの仕事を志したのか。その理由は、音楽のかかるライブハウスも、服を売るショップも、ご自身が10代のころに熱中した様々なカルチャーと「インテリアデザインなら全部関われると気づいたから」だそう。学校での学びも、その気づきがあってから、どんどんのめり込んでいったと言います。
そんな片山さんが手がけた空間は、日本のファッションブランド『A BATHING APE』の旗艦店から、フランスのパティスリーショップ『PIERRE HERMÉ PARIS』、韓国の自動車メーカー『HYUNDAI』のライブラリースペースまで、様々。「テーマパークのアトラクションに乗り込むような」「ラグジュアリー・コンビニエンスストア」「Stock of Curiosity(好奇心を探して)」など、それぞれのコンセプトに紐づけて解説いただきます。人気が故に商品がなくなってしまいがちな店舗についてはその場に来るだけで意味を感じれるように。格調がある敷居の高さと同時に気軽に入れるように。片山さんの思考のプロセスをご本人の言葉で実感していきます。
そんな片山さんから生徒の皆さんに発表された課題は、「あなたらしさが表現された、あなたが行きたいお店をデザインする」こと。課題をどのように紐解けばよいか。どのような着眼点を持てばよいか。渋谷パルコの館内へ、フィールドワークに向かいます。
インテリアデザイナーの視点でPARCOを巡る
片山さんの友人が手がけたという渋谷パルコ2階の「beautiful people」。もしも、この店舗の立地に新たにお店をつくるとしたら。そのような視点で片山さんと生徒全員で、じっくり巡ります。どのような什器か。どのような配置か。大きさや高さや触り心地はどうか。店舗に足を踏み入れたときの気持ちはどうか。様々な観点から考えながら観察を続けました。観察眼を育みつつ、「beautiful people」を後にしたあとは、一人ひとりが渋谷パルコの館内を自由に歩きまわります。熱心に写真をとったりメモをしたりしている様子が印象的でした。
感性を分解して生まれるデザイン
GAKUに戻った皆さんはそれぞれが気になったデザインを発表。「ネオンサインがたくさん飾ってあるショップが気になりました。カラフルなのに眩しすぎない光に安心感があったな」「昆虫食のお店が昆虫食のお店らしくなくて驚いた。でもアングラな雰囲気はあって、そこに惹かれました」「整理整頓された他の階と違って、カオスな地下一階全体の雰囲気にワクワクしました」など、それぞれに着眼点も異なるようです。
「みんなの視点、ちょっと変わってる。変わってるって褒め言葉です。じゃあ次は『なんで気になったのか』を考えてみましょう。自分の直感的な『気になる』という感性を分解すると、自分のデザインにも落とし込めるはずです」。片山さんから課題に向けた具体的なアドバイスが贈られ、今回の授業が締めくくられました。
次回は自分だけのショップのデザインを発表
次回の授業では生徒の皆さんがデザインしたショップを発表していきます。今回の授業を経て、生徒の皆さんがどんな風に空間をデザインしていくのか、とても楽しみです!