「Beyond the Music(第3期)」第10回 制作④ 自由制作
楽曲制作のラストスパート
「Beyond the Music」は江﨑文武さんによる音楽のクラス。多角的な視点で音楽表現のあり方や可能性を見つめていきながら、全12回の授業を通して生徒一人ひとりが音楽作品を作り上げていきます。
Ableton認定トレーナーの森谷諭さんによる全3回の楽曲制作演習を経て、およそ1ヶ月間の個人創作に取り組んできた生徒の皆さん。1月14日の第10回は、いよいよ制作のラストスパート。森谷さんにフィードバックをいただきながら楽曲を仕上げていきました。
今の自分の最大限を尽くす
「今日は最後の一踏ん張りの時間。分からないことや悩んでいることはもちろん、『なんとなく納得いってない』『もっと良くなる気がするけどどうしたらいいだろう』というような漠然としたことでも、ぜひ気軽に相談してください。私も全力で協力するので、今できる最大限を尽くしていこう」という森谷さんの言葉で授業がスタート。
自分なりに試行錯誤を重ねながら、これまで楽曲制作に取り組んできた生徒の皆さん。頭の中で思い描いているイメージや伝えたい想いを一つの楽曲として形にしていくこと。それは「まるで海を泳いでいくような途方もない作業」と森谷さんがいうように、真剣に向き合えば向き合うほど気になる点や調整したいところが浮かび上がり、なかなか終わりが見えません。クラスのみんながそれぞれ、期日に向けて今自分ができる精一杯を注いでいく。終わりの見えないクリエーションに向かっていくなかで、そのような環境の大切さも感じていきます。
そこでは、個々に創作へ向かっていきながら、「今どんな感じ?」「大変だったね」と生徒の皆さん同士で声をかけあう姿も。作りたい楽曲のイメージや興味関心はそれぞれ違えど、同じ教室の中で共に創作へ向かっていく仲間として、互いに励まし合う様子がとても印象的でした(そして、今回の授業ではバークリー音楽大学の先生方が見学に来てくれ、生徒の皆さんの楽曲にフィードバックをしてくれる場面も。プロのミュージシャンでもある先生方との、貴重な交流の機会にもなりました)。
ダメな自分も受け入れて、前に進むこと
「これまでの制作、本当にお疲れ様でした。制作を進めていく中では思い通りにならなかったり、作ることそのものがしんどくなったりすることもあったかと思います。でも、それは一生つきまとうこと。最初の授業で話したことの繰り返しになりますが、どうかダメな自分も愛してあげてください。そうすれば前に進める。皆さんのこれからの作品も、とても楽しみにしています」と、森谷さん。
生徒の皆さんを全力でサポートし続けてくれていた森谷さん。そのような森谷さんの姿勢や、ここまでのコミュニケーションの積み重ねも手伝って、そのコメントが生徒の皆さんへ深く響いていったようでした。
次回はプロの現場を体感しながら、作品をミキシング
生徒の皆さんそれぞれが自分の楽曲を作り切っていった今回。次回の授業では、リリースに向けた最後のプロセスとして、Sony Musicのレコーディングスタジオを訪れ、楽曲の音のバランスや音色を調整する「ミキシング」の作業に立ち会います。今回生徒の皆さんのミキシングを担当してくださるのは、エンジニアの染野拓さんと井上幹さん。プロの現場を体感しつつ、エンジニアのお二人と相談をしながら、楽曲の最終調整を進めていきます。
(写真・執筆:佐藤海)