「Beyond the Music(第3期)」第1回 私と音楽
音楽と自分自身との関係を紐解く
「Beyond the Music」は江﨑文武さんによる音楽のクラス。多角的な視点で音楽表現のあり方や可能性を見つめていきながら、全12回の授業を通して生徒一人ひとりが音楽作品を作り上げていきます。
初回となる8月26日(土)のテーマは「私と音楽」。江﨑さんのこれまでの活動や音楽創作に対する姿勢や考えを伺うことで音楽家という仕事のあり方に触れ、生徒の皆さんも自分と音楽との関わりを見つめていく機会となりました。
音楽家という仕事のあり方
WONK、millennium paradeでの活動やソロでの作曲、インスタレーションのサウンド制作や音楽教育など、音楽を軸に幅広く活動を行う江﨑さん。それらの活動の根底にあるのは「誰かに強く憧れること」だと言います。「音楽をつくるためにまず必要なのは、『なりたい自分を見つけること』だと僕は思っています。自分はそこから音楽を深く学びたいと思ったし、もっと突き詰めていくために一緒に音楽をやる仲間が欲しいと思い色々な場所に顔を出すようになり、現在のバンドメンバーとも出会いました」と、江﨑さん。実際に江﨑さんがこれまで影響を受けてきた音楽やミュージシャンも紹介しながら、現在の活動に至った背景やその中での想いが語られます。
そこでは、創作することのみに留まらない、音楽に携わる様々な仕事のあり方についても触れられていきます。「僕は一度、創作ではなく音楽の流通の仕事にインターンとして携わったことがあります。そこでは、作り手である経験が仕事に活きることもあったし、逆に今後作り手として生きていく上で参考になることもたくさんありました。最初から創作だけで生計を立てていくことは難しいかもしれないけど、音楽との関わり方はたくさんあるし、いろんな音楽家のあり方がある。それは決してカッコ悪いことではない。自分なりの携わり方を見つけていってもらえたら嬉しいです」と、江﨑さん。音楽に携わる仕事を志していたり、これから創作を進めていく生徒の皆さんの気持ちを後押しするようなコメントも贈られました。
生徒それぞれの創作への想いが交差する
授業の中では江﨑さんから生徒の皆さんへ、「音楽にのめり込むようになったきっかけは?」「どんなミュージシャンに憧れている?」「これからどんなふうに音楽と関わりたい?」と様々な問いが投げかけられ、生徒の皆さん自身も自分と音楽との関わり方を見つめる機会になっていきます。
例えば、「風景みたいな音楽が好き。音楽と映像との関係について考えてみたい」「一つの世界観を自分の手で作り上げることに興味がある。音響や照明や空間演出など、音楽だけではなくて、その周りにある環境も考えてみたい」「音楽に関心のない人や聴覚に障害がある人にも、音楽を楽しんでもらいたい。そのための音楽のあり方とはどのようなものなのかを考えてみたい」と、生徒の皆さん。音楽に対する想いとともに、生徒の皆さんそれぞれの音楽以外の領域への興味関心が音楽と紐づけられながら語られていく様子もとても印象的でした。
次回は、西洋を中心とした音楽の成り立ちに迫る
今回のガイダンスを皮切りに、ここからは一線で活躍する音楽家やクリエイターとともに様々な角度から音楽のあり方を紐解く「レクチャー編」が始まります。その初回となる次回のゲスト講師は、ピアニストの清塚信也さん。西洋音楽の成り立ちについて学んでいきます。
(写真・執筆:佐藤海)