「新しい演劇のつくり方」第6回
上演に向けた最後の授業
演劇集団「範宙遊泳」代表、劇作家で演出家の山本卓卓さんと13名の10代の生徒のみなさんが、山本さんの代表作『うまれてないからまだしねない』の世界観をベースとした新たな演劇の制作・上演を目指す「新しい演劇のつくり方」。2月6日は第六回授業を開講しました。
前回から脚本チームと演出・演技チームに分かれ、脚本の執筆と演出のアイデア出しを進めていった生徒の皆さん。本番前最後の授業となる今回は、両チームの成果である脚本と演出案を織り交ぜていきながら、本番に向けての通し稽古を行っていきました。
言葉にしづらい要素も洞察していく
まずはじめは全員での脚本の読み合わせからスタート。脚本チームと山本さんが仮決定した配役に沿って脚本を読み上げていき、それぞれの役のキャラクターや脚本全体の流れを掴んでいきます。「この役の性格はどのようなもの?どのような佇まいの人?」「脚本を作る際にどんなイメージだった?」「どんなイメージで演出をしていこう?」など、言葉にしづらい要素も含めながら、対話を通して作品づくりのための洞察を深めていきます。
その後は、より本番に近い状況での通し稽古です。当日は、オンラインでの配信を予定しているため、カメラや音響マイクもセッティングし、実際に観客の立場からはどう見えていくのかという視点も含めて確認していきます。また、改めて作品を最初から最後までやりきると、達成感と同時に細かい要素にもより目が向いていくようです。「舞台となるコンビニの入り口はどこがいい?」「脚本には『踊る』って書いてあるけ、こんな踊り方はどう?」「スクランブル交差点という設定は伝わるかな?」など、一つずつ話し合いをしながら詳細を決めていきました。
群像劇を演じること、演出すること
「どんな服装で、どんなビジュアルで、どんな声で、この世界にいるのかを考えるということ。自分の役の具体的なイメージを自分で膨らませていくことが、役を演じるにあたっての基盤となっていくはず」「今回上演するのは群像劇の多幕物。友情も恋愛も犯罪も、みんなが課題の脚本に書いてくれた様々なテーマが様々なキャラクターを通して表現されるから面白いし、だからこそ見ている人は混乱するかもしれない。それなら演出はできるだけ要素を絞ってみるのはどうかな?」など。群像劇ならではの特徴もおさえながら、生徒のみなさんが演技や演出により良く向かっていくための心構えの話など、山本さんの声がけも本番が控えている状況だからこそのものになっていきます。
13名の10代と山本さんが生み出した演劇
演劇制作のプロセスを脚本、演出、演技の3つの要素に分けて捉え、それらを全員が横断的に実践しながら1つの作品をつくり上げていった皆さん。次回はついにその成果の発表です。年齢も演劇経験の有無もバラバラな13名の10代と山本さんが対話を重ねて生み出した新たな作品は、2月20日、最終授業で上演されます。