REPORT

「新しい演劇のつくり方」第3回


演じながら考える、演技とはなにか
演劇集団「範宙遊泳」代表、劇作家で演出家の山本卓卓さんと13名の10代の生徒のみなさんが、山本さんの代表作『うまれてないからまだしねない』の世界観をベースとした新たな演劇の制作・上演を目指す「新しい演劇のつくり方」。12月19日は第三回授業を開講しました。

これまで演劇の歴史を紐解きながら、脚本の基本を学んできた生徒の皆さん。今回は「演技とはなにか?」というテーマのもと、実際に俳優として脚本を演じてみるプロセスを体験。集団創作である演劇において俳優が果たす役割を学んでいきます。



演じると世界観が立ち上がる
前半の講義では、実際に山本さんがこれまでに出会った俳優たちとの創作のエピソードを紹介しながら、俳優に求められる役割や必要な力を紹介。演出を考えたり、セリフの修正を提案したり、時にはSNSを使って観客とのコミュニケーションをしてみたり、舞台上で演じる以上の役割も担っていく具体的な俳優像をつかんでいきます。「個人的なことはチームのこととだったりもする、だから声をあげる必要もあるし、逆に耳を傾ける必要もある」。実際に創作を共に進めていく生徒のみなさんに持ってほしい心構えも共に伝えていきます。

後半は、生徒による脚本をみんなで実演をしてみるワークショップです。登場人物は、それぞれが失恋をしているという少女と擬人化された月というもの。「2人の関係性をみんなならどう表現しますか?」という山本さんの投げかけを受けてグループごとに演じ方を議論していきます。どのような表情か。どのような声色か。道具をどう見立て、どう使うか。いざ演じてみようとすると考えることはたくさんあります。実演を交えながらの議論のあとは、グループごとに発表。本番では、両者が置かれた距離の遠さと気持ちの近さ、お題であるその関係性が様々な手法で表現され、それぞれの演じ方の違いや工夫に歓声があがります。


俳優は、表現もするし関係性もつくる
「群像劇は関係性で表現していくもの。そして、俳優はその関係性を築いていく存在。関係といっても、それは観客、共演者、スタッフなどさまざまです。そのため、演技ということとともにコミュニケーションということについても考えていく必要があります。だからこそ、自分の殻に閉じこもって遮断するのではなく、その時々の場所を楽しむ、そんな努力が大切になってきます。」山本さんの締めくくりの言葉が、生徒のみなさんの俳優観を広げているようでした。


本番まで授業は残り4回
初めての演技に挑戦した今回の授業はこれで終了。段々とそれぞれの人となりを把握してきた様子の生徒の皆さんの間では意見交換も活発に行われているようです。そんな「新しい演劇のつくり方」も次回で折り返し。2月の本番に向けて演技の指導と脚本の執筆を並行して進めていきます。

 

「新しい演劇のつくり方」クラスページはこちら