REPORT

「東京芸術中学」第59回 菅付雅信さん


美しさをそもそものところから考える
編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。12月18日は菅付さん自身が講師となり、アーティスト森村泰昌さんの著作『「美しい」ってなんだろう? 美術のすすめ 』を読み解きながら、それぞれが著作を通して感じた「美しさ」についてディスカッションを行いました。




何が私たちに美しさを感じさせているんだろう?
前半はまず森村さんの著作の感想を発表していきます。著作に掲載されている森村さんのセルフポートレート作品に触れた生徒の皆さんからは、メイクや小道具を使って様々な人物になりきるその表現方法となりきる人物の忠実な再現度に驚きの声が寄せられます。

「じゃあこの本の中で発見した美しさは?そこになんで美しさを感じたんだろう?」。後半には菅付さんから生徒の皆さんに質問が投げかけられます。森村さんの作品はもちろん、森村さん自身が「美しい」と感じて参照した作品も同時に見ながら、それぞれの「美しさ」について生徒の皆さんが言葉で表していきます。

例えば、「お墓の写る作品は怖いけど、だからこそ美しいと感じたのかも。思い返すと小さい頃にもそんな感覚を感じたことがありました」「自分自身、そもそも美しいって言葉を普段使わない。なんで森村さん自身は様々な作品を美しいと感じるのか、今考えさせられています」など、自身の記憶に関連付けながら今回のテーマを深めていきました。


自分なりの美しさのアーカイブを持つこと
「美しさに敏感であることはクリエイティブであるために欠かせないこと。森村さんは多様な美しさに触れ、それを自分の身体を通して自分だけの表現に落とし込んでいます。それって優れた料理を自分の舌で体験してきた人が優れた料理人になることと一緒。どのクリエーションにも共通します。だから、日々の中でハッとさせられたことや心に刺さったこと、他の人が気づかない美しさを自分の中でアーカイブしていくことを忘れないでください。」菅付さんからのこんなコメントで授業が締めくくられました。


これからのクリエーターとしての視点
今回の授業で学んだ「美しさに敏感であること」。そして前回の授業で学んだ「社会を広い視野で捉えていくこと」。年内最後の2回の講義は、様々なクリエイターをお招きした授業の学びを総括するような内容であったようにも思います。編集者である菅付さんならではの視点で、芸中そのものも編集されているように感じた、そんな今年ラストの授業となりました。

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