REPORT

「新しい演劇のつくり方(第2期)」 第15回 演技・演出(演出案の最終調整)


演出案の最終調整
「新しい演劇のつくり方」は昨年度に続いて開講となる演劇のクラス。今年度は演劇カンパニー「チェルフィッチュ」を主宰し、このクラスの総合ディレクターを務める岡田利規さんによる『三月の5日間』を原作とし、中高生である生徒の皆さんが新たな演劇作品を戯曲からつくっていきます。

7月9日(日)、第15回となる今回はついに作品上演前の最後の授業。講師の山田さんに加え、総合ディレクターの岡田さんも交えながら、議論とリハーサルを重ねながら演出案の最終調整を進めていきます。





言葉と身体で試行錯誤を重ねる
前回授業に引き続き演出案を修正しながら通し稽古を進める皆さん。黒板に記されたスケジュールや語気からも、本番までの緊張感が感じられます。

特に何度も議論を重ねているのは、生徒の皆さんがどのような存在として舞台に立つのかというところ。「自己」という名称がそれぞれに与えられているものの、それは、本当に自分自身としてなのか、演じられた「わたし」としてなのか。「セリフとして『言わされる』のではなくて、自分のことを自分の感情で言った方が良いのでは」「観客からしたら、誰の言葉なんだろうって、想像することが面白いのでは」
「他の人のセリフに共感して伝えたい気持ちに自分がなったということは、他の人と自分の区別がなくなるという感覚と一緒なのかもしれない。そこに誰かの言葉を代弁することの面白さもあるのでは」。フィクションとリアルが混じり合う複雑な構造に対してどう向き合うのか、試行錯誤は尽きません。



もう一度、言葉に身を委ねること
なかなか思い通りには進まない今回の授業。それはもちろん作品への想いが深いからこそ。「あくまで、もし俺だったらだけど」と、岡田さんからそっと提示される選択肢。「それって、こういうこと?さっきのあれとこんな感じでつながる?」と、生徒それぞれが奥底に持っている想いやアイディアを引き出しつつまとめあげていくような山田さんの示唆。議論が煮詰まって打開策が見えない時に、講師のお二人の言葉が生徒の皆さんの後押しをしていきます。

「そもそもここに書かれたみんなの言葉は面白い。みんなから生み出されたこのテキストに身を委ねることも一つの手なんじゃないかな」という岡田さんの言葉は、本番直前に考えれば考えるほど張り詰めていく生徒の皆さんの気持ちや授業の空気を、少し緩やかにしてくれるものでした。



次回はついに本番
本番に向けて議論も稽古もより白熱した今回。意見がすれ違った時にも否定するのではなく、相手がどうしてそう考えるのか、まず想像を膨らませながら語り合う生徒の皆さんの姿が印象的でした。これから2週間後の本番まで、生徒の皆さんは自主稽古を重ねて当日を迎えていきます。

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