REPORT

「農暮らす/ agri class」第2回 食肉とCO2


「食肉とCO2」という視点でこれからの食を考える
食やファッション、宇宙まで、様々な分野の専門家やクリエイターと10代がこれからのクリエーションとサステナビリティのあり方を展望していく「農暮らす/ agri class」。11月28日は「食肉とCO2」をテーマに第二回授業を開講しました。

今回の授業では、食肉が地球に与える環境負荷について学び、開発が進む代替肉を実際に食べながら、これからの食のあり方を考えていきます。

代替肉の開発と普及を進めるNEXTMEATSの佐々木さんからは、食肉が持つ文化や環境負荷について。温室効果ガスの観測を続けているJAXAの重藤さんと粕谷さんからは、宇宙からみる地球の現状や世界の動向について。これからの食のあり方を考えていくために必要な知見を深める講義とともに、渋谷パルコに店舗を構える料理家の森枝幹さんとオーナーシェフの掛川哲司さんが手がけかられた代替肉を活用したスペシャルメニューが提供されました。



宇宙視点で捉える、私たちの暮らしとダイバーシティ
授業はまず、食肉と環境問題についての講義からスタート。「地球を終わらせないために、いま何ができるのか」という問いから始まったというNEXTMEATS代表の佐々木さんは、食肉や畜産が育んできた豊かな食文化にも触れながら、メタンガスの発生や森林伐採など、食肉によって引き起こされる環境負荷を数々のデータともに解説。代替肉が必要とされる背景への理解が進みます。さらに、温室効果ガスを観測し続けているJAXAの人工衛星「GOSAT-2」のスタッフ、重藤さんと粕谷さんからは、これまでの研究データを踏まえながら、地球への深刻な環境負荷やその最新動向を解説。膨大な参照情報はブックレットにして生徒の皆さんに配られました。



タイカレーからパテドカンパーニュまで、代替肉ランチを実食
そんな講義を経て時間はお昼時。森枝さんが作った3種のタイカレー、掛川さんが作ったフランス料理のパドカンパーニュなど、彩り鮮やかなランチが登場です。それらのメイン食材は、食肉が引き起こす様々な課題をクリアしていく、100%植物性の代替肉です。さらにその下のランチョンマットは、JAXAの方々が今回のために特製してくれたもの。人工衛星からの観測データのグラフがデザインされています。

「初めての代替肉の味はどうですか?」、「違う食材を同じ形に切ってみたのですがどうでしょうか?」、「代替肉ならではの魅力を引き出すために、、、」。シェフ本人からメニューの解説を受けながらランチをいただく贅沢なひと時でした。



地球の救い方って一つじゃない
「今回は3つのアプローチから代替肉を調理しました。食感、風味、見た目など、実は頭の中にいろんな美味しいもののデータベースがあって、それを組み合わせたり近づけたり考えながら創作しています。結構、論理的でもあるんです。」と森枝さん。「地球の救い方って代替肉一つだけじゃない。クリエーションはいくつかの方法を掛け合わせることでもあります。だから今回も代替肉とともに『獣害問題』で使い道が求められている猪の肉を組み合わせたパテにしています。それに僕が他に複数のお店を経営しているのも、フードロスをなくすために食材を効率的に使い切る工夫であったりもします。」と掛川さんはビデオレターから。環境課題を踏まえながらも、人が手にしたり口にするものを生み出すための創作の秘訣にも話が及びました。

「NEXTMEATS」の佐々木さんからは、「代替肉を開発している私自身も、シェフのお二人の腕に感銘を受けました。食肉をやめることを強制するのではなく、新たな選択肢として代替肉を提案していきたい。だからこそ、味も見た目も全部もっと進化させていきたいと思います。」と、代替肉の未来に期待が高まるコメントもいただきました。


これからの食のあり方を生活の中でどう考えるか
「鶏肉の代替肉が本当に同じ食感でびっくりしました。」、「学校でもこういうメニューが出たら、みんなもっと環境問題が気になるんじゃないかな。」、「代替肉以外にも、地球を救える色んな食材に挑戦してみたい!」など、授業を終えて、生徒の皆さんからはさまざまな発見や感想が寄せられました。さらには「外来種であるザリガニの食用化で起業しようと思っていたんですがそれって実現可能だと思いますか?」と、現在進行形のプロジェクトについてアドバイスをもらう生徒の姿も。ここから何か新しいことに挑戦したりもっと探究してみたいという気持ちも生まれていったようです。

なお、今回の授業をきっかけに、森永さんによるタイ料理レストラン「CHOMPOO」、掛川さんによる「GoodLuckCurry」渋谷店では代替肉を使ったスペシャルメニューがそれぞれ期間限定で提供されることに。「GoodLuckCurry」では12月12日(日)まで、「nextキーマカリー」として代替肉と猪肉のキーマカレーが発売中です。

次回の「農暮らす/ agri class」のテーマは「綿花と水」。綿花が与える環境負荷をファッションデザイナーやJAXAの方々と紐解きながら未来のファッションのあり方を考えていきます。日時などの詳細は随時公開していきますので、GAKU公式ウェブサイト、またはSNSをご覧下さい。

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