「東京芸術中学」第57回 森永邦彦さん
デジタルを通して、これからのファッションを考える
編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。12月4日はファッションデザイナーの森永邦彦さんによる2回目の授業を開講しました。
森永さんによるブランドANREALAGEのデジタルショーを仮想空間上で体験したり、ANREALAGEのテキスタイルを組み合わせて生徒のみなさんもデジタルドレスのデザインに挑戦した前回。今回はデザインを仕上げるために3Dパターンに起こして最終チェック、そして仮想空間上でのファッションショーを行いました。生徒の作品は後日NFT化されて届けられます。
仮想空間の中で服をつくる、服を楽しむ
授業の前半では、ANREALAGEの最新コレクションにも参加された匿名3Dパタンナーの「J」さんにもzoomで参加いただきながらデザインの最終チェック。後半では修正したドレスがランウェイを歩くデジタルショーの開催です。
「もっと布をふんわりした軽いものにしたい」、「裾を縫い合わせてパンツの形に!」、「黒をもっと深い色にできますか?」。生徒の皆さんが平面でデザインし、Jさんが仮想空間上で立体に縫い合わせたデジタルドレスを見ながら、生地感、シルエット、色味などの細い修正を行っていきます。アナログな服づくりではあり得ないスピードで、生徒のみなさんの具体的な指示が次々にデジタルドレスに反映されていきました。
続くファッションショーでは、仮想空間の中、アバターが着用したそれぞれのデジタルドレスを実際に見ていきます。感嘆の声がたびたびあがるその様子は、ファッションの新たな楽しみ方が一足先に表れているようでした。
実体はないけれど誰かの心に残るファッション
「デジタル上での服の役割はこれからどんどん増えていくと思います。実体はないけれど誰かの心に残るもの、アバターに着せて全く違う個性を与えるもの。ファッションが過渡期にあるこのタイミングでこのような授業をできたことがとても新鮮でしたし、僕自身もみなさんのデザインに刺激を受けました。」授業終盤には森永さんからこんなコメントが生徒の皆さんに贈られます。
生徒の作品はNFT化されてプレゼント
森永さんによる計2回の授業はこれで終了。ですが、今回生徒の皆さんが制作した服は後日NFT化され、オリジナルドレスとしてデータがそれぞれに届けられます。デザインからショー、そしてNFT化まで、デジタル上で行われるこれからの服のつくり方を通して、これからのファッションの楽しみ方を体感する授業となりました。