「新しい演劇のつくり方」第2回
考えながら、なりきりながら、脚本を生んでいく
演劇集団「範宙遊泳」代表、劇作家で演出家の山本卓卓さんと13名の10代の生徒のみなさんが、山本さんの代表作『うまれてないからまだしねない』の世界観をベースとした新たな演劇の制作・上演を目指す「新しい演劇のつくり方」。12月5日は第二回授業を開講しました。
「そもそも演劇とはなにか?」という大きいテーマを演劇の歴史や現代の生活から紐解いていった前回。今回は、「そもそも脚本とはなにか?」という問いを立てながら、実際に生徒の皆さんが脚本を仕上げていくプロセスを体験しました。
脚本づくりの実践技術
前半の講義では、今回のテーマである脚本を「タイトル」、「ト書き」、「モノログ」、「ダイアログ」の4つの要素に分解。『うまれてないからまだしねない』をはじめ様々な脚本を参照し、それぞれの要素の役割を捉えていきます。講義内容を足がかりとしたグループでのディスカッションも交えることで理解を深めながら、脚本執筆のワークショップへと進んでいきます。
後半のワークショップでは、高校生からバレエダンサー、宇宙人まで、生徒のみなさんが役になりきってダイアローグを読み上げつつ発表していきます。「ただの独り言には注意が必要。説明的になりすぎてしまうから対話で状況を伝えられる工夫をしてみよう。」、「キャラクター毎に文体を変えたら違和感が減るんじゃないかな?」などなど。生徒一人一人に向けて山本さんが10年積み上げてきたという脚本のテクニックを伝えていきます。生徒のみなさんも実際に声にして読んでみると想像していたものとはどこか違う印象を受けたよう。山本さんのアドバイスやそれぞれの違和感を大切にして、脚本制作に反映させていきます。
リアルから解放される演劇の可能性を成り立たせるために
「宇宙人でも喋る鳥でも、人間が想像できることはなんでも演劇になると思っています。演劇の世界ではリアルから解放されることができるから。その上で大切なのは、そこから生まれる嘘を観客と一緒に遊んだり楽しめたりするどうか。例えば、『俳優が全然鳥に見えなくてもなんか笑える』みたいな状況。これは脚本のテンポ感や文体に大きく左右されるんです。」授業の最後には、山本さんからこのようなコメントをいただきました。
次回は、自分たちで生み出した脚本を演じる側へ
声にして読む、書き直すといった実践を通じて脚本への理解を深めていった今回の授業はこれで終了。回を重ねるごとにみなさんの表情もリラックスしてきたようです。次回の授業では、過去にご自身も「範宙遊泳」の舞台に立っていた山本さんと一緒に演技に挑戦していきます。