REPORT

「東京芸術中学」第56回 渋谷慶一郎さん


これから大人になるかもしれない君たちへ
編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。11月27日は電子音楽アーティストの渋谷慶一郎さんによる授業です。目前に控えるドバイ万博に向けた作品制作の中駆けつけてくださった渋谷さん。日本と世界のクリエーションの違いやクリエイターとして生きていくためのコンセプトの大切さなど。「これから大人になるかもしれない君たちへ」と題して、講義や対話の中で、渋谷さんの体験を例に挙げながらメッセージが贈られました。



世界と日本、その間にある違いに目を向ける
前半の講義では、背景にある表現の意図やコンセプトを解説していただきながら、渋谷さんの作品を実際に鑑賞していきます。そして後半の質疑応答では、渋谷さんのクリエーションや日々の生活について、そして生徒のみなさん自身が今抱えている悩みについてなど、たくさんの質問が投げかけられていきます。

渋谷さんと生徒の皆さんとのやりとりの中では、世界各国で作品を発表されている渋谷さんだからこその視点からのアドバイスも。例えば、日本のクリエイターの多くが向き合わなくてはならないと言う「コンセプトを言葉にすることの難しさ」について、その課題を克服するために欠かせない「インプットの大切さ」と併せて語ってくださいました。

制作を始める時のインスピレーションから、一つの作品が良いものになったと思うことができる瞬間、緊張してしまう時の対処法まで。質疑応答の時間では、生徒のみなさんも一人のクリエイターとして、渋谷さんに質問をぶつけていくことで対話が重なっていきます。


自分に才能があるかなんて考えなくて大丈夫
「才能があるかなんて考えなくて大丈夫。僕も自分に才能があるかなんて考えたこともないけれど、表現したいことがある。だから徹底して表現を続けています。」、「コンセプト、つまり表現したいことを明確にするためには、その分だけのインプットが欠かせない。でも取捨選択は必須。第一に、自分が面白くないものは捨ててもいいと思います。逆に面白いものなんてない!と思う人はまだ出会っていないだけ。必ず出会えます。」生徒のみなさんに向けたこんな渋谷さんのコメントは、​​一人一人の背中を未来の方角へそっと押し出してくれているようにも聞こえました。


お互いの熱量を持ち寄って語り合う
渋谷さんと生徒の皆さんの対話の中、あっという間に時間が経っていった今回。授業が終わった後でも渋谷さんに質問しにいく生徒が絶えない様子。一人一人の「大人観」が豊かになっていくようでした。

東京芸術中学クラスページはこちら