REPORT

「農暮らす/ agri class」第1回 『野菜とダイバーシティ』


サステナビリティの新授業が始まりました
2021年10月31日(日)は、サステナビリティの新授業「農暮らす/ agri class」がスタート。「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)のなかで、クリエーションはどうあるべきか?」計5回のこの授業では、このような問いを立てながら、各分野の専門家やクリエイター、そして10代がこれからのクリエーションとサステナビリティのあり方のビジョンを展望していきます。

初回となる今回の授業テーマは「野菜とダイバーシティ」。講師に、江戸時代から続く農園「須永農園」の16代目代表の須永真一郎さん、そしてJAXA 第一宇宙技術部門 衛星利用運用センターの岡綾乃さんをお迎えし、農業と宇宙、それぞれの専門から、ダイバーシティについて深めていきます。そんな今回はGAKUを飛び出し、埼玉県の「須永農園」に生徒のみなさんと一緒に伺いました。


宇宙視点で捉える、私たちの暮らしとダイバーシティ
授業はまず、JAXA 第一宇宙技術部門 衛星利用運用センターの岡綾乃さんによる講義からスタート。小さい頃から昆虫好きだという岡さんの講義は「生物多様性」についてです。「生物多様性ってなんだろう?」、「そもそも多様性ってなんで大切?」。そんな質問を生徒の皆さんに投げかけながら、衛星「だいち」が実際に撮影した地球の写真を観察。1日あたり5〜50種ものの生物が絶滅しているとも言われる、厳しい地球の現状を学びます。さらに、その原因の一つとして、生物の住処となる森林を伐採し大量に1種の作物を植えるプランテーションが例に。人間が自分たちの生活にとって有用なものだけを選びとるその生活様式が、生物多様性を傷つけてきたことも同時に紹介いただき、私たちの生活と地球の密接な関係を改めて捉えていきます。


「少量多品目」栽培で、農園と地球を繫いでいく
岡さんの講義を終え、続いては須永真一郎さんとの収穫体験。プランテーションとは対極に、「少量多品目」での栽培を行う須永農園。ビニールハウスのない時代には、微生物の発酵熱を利用するなど、様々な生物と協同して農業を続けてきたと言います。

そんな須永農園では、うっすらと白いキュウリや、見たことのない大きさや形のパプリカ、鋭い棘のあるナス、さらにはスイスチャードという初めて名前を耳にする野菜まで、その場で収穫。普通の農園では扱うことのできない野菜と触れ合い、生徒のみなさんからは感嘆の声が上がります。「『俺の野菜はうまい!だから良い!』だけではなく『どんなお皿にどんな料理と一緒に乗せるのか』。最後のアウトプットまで考えながらいつも収穫しています。クリエーションってそういうものだと思うんです。」こんなご自身の言葉とともに、農家であり、同時に一人のクリエイターでもある須永さんの一面を覗くことができました。


これからのクリエーションの指針としての「ダイバーシティ」
「人間の価値基準だけにとらわれず、存在するだけで価値があると考える。生物や自然に対して、そんな内在的な価値を認めていくことで、生物多様性のために自分ができることが見えてくるかもしれません。」と岡さん。
須永さんからは、「これは人参の花。普通の農家さんはこれは見せません。なぜならこの花は、人参が育ちすぎて売れなかったっていうことを示すから。でも、一般からは価値がないとされているこの花やそのほかの無駄だと思われているもの。それらはクリエーションにとっては欠かせないもの。それらに目を向け、魅力を見つけていくことから新たなクリエーションが生まれてくるはずです。」と、須永農園を営むご自身からしか聞くことのできない言葉も。

お二人を通して、どこか他人事のように感じていた「ダイバーシティ」という言葉が、これからのクリエーションの鍵を握る存在のように感じました。


他人ごとではなく自分ごと
「農家さんの仕事や野菜そのものに触れてみて、普段の食があったかいものであると感じました。」、「効率が重視される世の中で、改めて『自分が今世の中に求めるものはなんだろう?』と考えるきっかけになりました。無駄も世の中には必要だよなと感じました。」農業そのものへの興味はもちろん、音楽やビジネスにも興味を持つ今回の生徒のみなさんから、こんな感想をいただいて授業は終了。「ダイバーシティ」を他人ごとではなく自分ごととして見つめ直す、そんな授業となりました。

次回の「農暮らす/ agri class」のテーマは「食肉とCO2」。詳細は随時公開していきますので、GAKU公式ウェブサイト、またはSNSをご覧下さい。

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