「我美と作美(第3期)」第6回 メイクアップの構想力
手を動かして、言葉にして、大切にしたいものを掴んでいく
「我美と作美」は、メイクアップを通して新たな「美しさ」を表現するクラス。昨年度に引き続き開講する今回も、様々なジャンルのクリエイターが生み出す「美しさ」に触れながら学びつつ、10代の生徒の皆さんが、メイクアップを通して、これからの時代の美意識を自ら生み出していきます。
11月26日(日)、第6回の今回は絵描きでアーティストの下田昌克さんを講師にお迎え。ラフスケッチやヘッドピースの制作など、手を動かすことで「新しい美しさ」を構想していきます。
みんなに理解されようとしても新しいものは生まれない
メイン講師の計良さんのサポートのもと、メイクの実践を通してそれぞれの「新しい美しさ」の具体像を掴んでいった前回。その後、授業外の時間で生徒のみなさんが描き進めていったラフスケッチを発表していきます。
「みんなのスケッチを見てワクワクしました。未来のことや新しいことは、大抵の人には理解されないし、むしろ怖いと思われることも。世の中の人が揃って綺麗と思わないものにこそ可能性があると思います。僕はそういうものを見てみたいし、自分でもつくりたい。今日はたくさん実験してみましょう」と下田さん。生徒の皆さんのプレゼンテーションにじっくりと耳を傾けて贈られたコメントは、生徒の皆さんの背中を後押しするエールのようにも聞こえました。
圧倒的な構想力に感化されること
発表で使ったラフスケッチを大胆に切ったり貼ったりしてコラージュすることで新しい構想を模索する方、モールやグルーガンを使って即興的にヘッドピースをつくる方、過去の自分の作品を発展させる方。下田さんに勇気づけられるように、生徒の皆さんはそれぞれの制作に移っていきます。
下田さんからは生徒の皆さん一人ひとりに形や素材のアドバイスを寄せてくださいます。時には下田さん自身がスケッチを描いてイメージを伝えてくれる場面も。といっても、「ひとつの提案なんだけど」と前置きを繰り返し、生徒自身が考えたり選んだりしていくことを大切にされていくことが伝わっていきます。講師である下田さんと生徒の10代がお互いのスケッチを並べて語り合う姿がとても印象的でした。
そして、スケッチやプロトタイプなどのアイディアを目の前にすると、どんどんインスピレーションが湧いていく下田さん。その様子からも学ぶべきものが多くあるように感じます。ここでも、繰り返し「勝手なことを言うからスルーしても大丈夫」と前置きをしつつ例えば、「チベット民族の衣装は参考になるかも。めっちゃかっこいいんだよ」「最近は時々カワセミを探しに行ってて。すごく綺麗な色じゃない?」「子供のころに聞いてた曲の中に『人々を変えるものに人々は気づかない』って歌詞があって妙に納得しちゃったんだよね」と、ご自身の体験や経験を持ち寄ってくれます。そのようなコミュニケーションのなかで、生徒のみなさんも自分自身の発想をより確かなものにしていくようでした。また、その確かさがあればこそ、そこを足場に新たな発想が生まれていきます。
次回は構想したものを具現化していく
次回の会場は、SABFA。エアブラシといった応用的な技術や紫外線に反応して光る化粧品といった珍しい技術。実際にメイクアップに挑戦しつつ、それらの技術も学んでいきます。メイン講師の計良さんと共に、生徒のみなさんがイメージしている新しい美への構想を、少しずつ具体的に掴んでいきます。