「『私をつくる教室』をつくる」第3回 エスキス②
アイデアを形にすることで膨らませていく
「『私をつくる教室』をつくる」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師は、昨年度に引き続きPERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さん。今年度は10回の授業を通じて、「教室」のアイデアを深めながら、実現していくことを目指していきます。
手を動かすことと発想を広げること。それを同時に行いながら少しずつアイデアを形にしていく「エスキス」に着手していった前回。次回の中間発表に向けて、11月26日の第3回でも引き続き作業を進めていきます。
「学びがこうあって欲しい」という想いを形にする
自分が学びたいことを学ぶことのできる場所としての、教室のアイデア。そこには生徒の皆さんそれぞれの「学びがこうあって欲しい」「こういう状況が生まれて欲しい」という切実で強い想いが込められていきます。講師のお二人や建築学生が中心となったTAの方々からの声かけもヒントにしながら、それをスケッチや模型で表現する方法を検討していきます。
「ただ机と椅子が並んでいるのではなくて、ふわふわしたりツルツルしたり、いろんな心地いい素材に身体を預けながら学ぶ教室があってもいいはず」「白い壁のギャラリー空間ではなく、壁の大きさや色がバラバラな迷路みたいな空間になっていたら、もっと主体的にアートと触れ合ったり感じたりできるはず」「自分で育てたり採取したものを使って料理をする空間を作ったら、もっと楽しく豊かに食を学べるはず」と、生徒の皆さん。何度もスケッチを描いたり、実現したい要素を言葉で書き出してみたり、教室が建つ周りの環境を想像しながら模型とともに作ってみたり。各々の方法でどんどんと手を動かしていくことで、そのあり方が少しずつ形として表れていきます。
素直に表現してみることで見えてくるもの
「完璧ではなくていいから、自分の考えをどんどん書き出してアウトプットしよう。今回はただの教室ではなくて『私の』教室。自分の身体を通した感覚を大切に、それを中間発表でしっかり伝えていこう」と、廣岡さん。「真剣に考えていけばいくほど、悩むことも多いと思う。でも、悩んでても大丈夫。悩みも含めてさらけ出してみよう。自分の中で辻褄が合っていなくても、まず素直に形にしてみよう」と、佐藤さん。
授業の終わりには講師のお二人から、次回の中間発表に向けたあたたかなコメントが贈られ、授業が締めくくられました。
次回は、「私をつくる教室」の中間発表
次回は中間発表。完成した模型とスケッチをもとに作成するプレゼンボードとともに、生徒の皆さんそれぞれの考える「教室」を発表していきます。
(写真・執筆:佐藤海)