REPORT

「我美と作美(第3期)」第4回 美しさの表現


美しさをどのように表現し続けるか
「我美と作美」は、メイクアップを通して新たな「美しさ」を表現するクラス。3期目となる今年度も、様々なジャンルのクリエイターが生み出す「美しさ」に触れながら学びつつ、10代の生徒の皆さんが、メイクアップを通して、これからの時代の美意識を生み出していきます。

様々な角度から自分自身の美意識を観察し捉えていったこれまでの授業。10月25日の第4回授業の講師は、ウィッグアーティストの河野富広さんとフォトグラファーの丸山サヤカさんによるクリエイティブ・プラットフォームkonomad。ヘアメイクアップと写真を掛け合わせた作品を制作されるお二人は、このクラスで生徒の皆さんが目指す表現のあり方を牽引し体現されている存在。美意識をどのように表現し続けていくのか、そのリアリティを捉えていきました。




第一線のリアリティ
生徒の皆さんの目の前に並べられたのは、お二人によるプロトタイプやスケッチ、さらには、これまでの膨大な量の作品がアーカイブされているアートブックの数々。お二入が修行を重ねたロンドン、仕事で多忙を極めたNYなど、世界中を舞台にした活動の記録を紹介しながら、これまでに積み重ねてきた表現とその変遷を紹介してくださいます。

9シーズン連続で「ヘアプロップ」を担当したファッションブランド「JUNYA WATANABE COMME des GARCONS」のショー、ミュージシャンの「Björk(ビョーク)」やガールズグループ「NewJeans(ニュージーンズ)」とのコラボレーションなど。具体的なエピソードも交えながら解説してくださいます。時に創造を超える過酷な状況でのクリエーションに向き合わざるを得ない局面と、だからこそ生まれるクリエーションの凄みも。生徒のみなさんにとって憧れてはいるもののどこか遠い存在にも思えていたクリエーションの現場の緊張感やリアリティを、お二人の言葉と作品を通じて、目の前で感じていくことができました。




自分の美意識を実現する環境からつくる
2017年頃にはお二人の代名詞とも言えるウィッグメイキングを本格的に始動。河野さんがウィッグをつくり、丸山さんが撮影、konomadとしてお二人でビジュアルディレクションを担当されています。「自分がこれまで積み上げたものを表現する場がなかった」「もっと多くの人が楽しめるものをつくりたかった」と言う河野さん。誰に頼まれるわけでもなく、つくりあげた作品をSNSに公開すると想像以上の反応が返ってきたそう。そして、ビョークやニュージーンズらとのコラボレーションや、金沢21世紀美術館で開催中の合同展に参加するなど、ジャンルを超えた広がりを見せています。

授業の中ではウィッグのリファレンスの数々も紹介されます。熱帯魚、ヒトデ、蜘蛛、カエルから、80年代以降の日本のアニメーションやCMまで、お二人が10代のころに触れてきたものも多く、美意識の原点にも触れることができました。

「今のクリエイターに必要なことは、全方向にアンテナを張り巡らすこと。そして、自分でやりたいことをできる環境をつくっていくことがとても大切。そこから『新しい美しさ』が生まれてきていると実感しています」。確かなキャリアを築きながらも、新しい挑戦を続けるkonomadのお二人から、これからキャリアを重ねていく生徒の皆さんに向けてエールも贈られました。




美しさの表現を実践する
授業後にウィッグを実際に付けさせてもらう生徒の皆さん。見るのと、付けてみるのでは、大違い。「新しい自分と出会えたかも!」という声もあがっていました。
次回の授業からはヘアメイクの実践に挑戦。まずは基礎的なメイク用品の使い方を学んでいきます。そこから、それぞれが描き上げる「新しい美しさ」をテーマにしたラフスケッチをもとに、メイン講師の計良さんと実際に形に仕上げていく方法を探っていきます。

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