REPORT

「我美と作美(第2期)」 第6回 コンセプトの具体化


作品づくりの構成を深める
「我美と作美」は、メイクアップを通して新たな「美しさ」を表現するクラス。昨年度に引き続き開講する今回も、様々なジャンルのクリエイターが生み出す「美しさ」に触れながら学びつつ、10代の生徒の皆さんが、メイクアップを通して、これからの時代の美意識を自ら生み出していきます。

第6回の講師は絵描きでアーティストの下田昌克さん。今回は下田さんと一緒に生徒のみなさんがそれぞれ創作したいもののテーマやコンセプトを深堀りしていきます。下田さんからの事前課題は、「制作のイメージをラフスケッチに描いてくる」こと。スケッチをもとにアドバイスもいただきつつ、作品づくりの構想を進めていきます。


腹の底から好きなものを形にするということ
1994年から2年間、旅先で出会った人々のポートレイトを色鉛筆で描き始めた下田さん。現在は絵描きとして書籍や雑誌、絵本、テレビ、舞台美術といったさまざまな媒体を手がけ、詩人の谷川俊太郎さんとの共著『恐竜がいた』などを出版されています。また2011年よりプライベートワークでハンドメイドの恐竜の被り物をつくり始め、COMME des GARÇONS HOMME PLUSやOff-White™ をはじめとしたファッションブランドにも起用されるなど、幅広い活動を進められていらっしゃます。

授業では、これまでの作品を数多くご紹介していただくことで、生徒の皆さんのヘアメイクアップの解釈も豊かになっていくようでした。下田さんがつくった恐竜のヘッドピースをご自身で着用して紹介してくださる場面もあり、実物の迫力に魅了されます。そして「恐竜好きなんだよね」という添えられた言葉は、心が動かされるものへのまっすぐなパッションも感じます。





会話を重ねて深める
このクラスでは、ヘアメイクアップを通して新たな「美しさ」を表現することに挑んでいます。その作品は、撮影を経て写真作品という形で発表していきます。今回事前課題として生徒の皆さんが描きあげたのは、その最終課題のためのラフスケッチ。「1人でつくるのもいいけれど、せっかくみんながいるからお互いに意見を交換してみよう」。下田さんの声かけから、それぞれのスケッチを囲んでの発表です。

「そのままの美しさを表現するために素肌を見せたビジュアルにしたいと思っています」というアイディアに「そのままの美しさってなんだろうね?例えば、この前お風呂の中で寝ちゃったら自分の指がしわくちゃになってて脳みそみたいに見えたんだよね。すごい面白かった」。「顔にできるニキビをポジティブなものにしたくて、そのキャラクターをつくってみました」というアイディアに「面白い!このキャラクターが顔のニキビであることを伝えるにはどうしたらいいかな?写真を組み合わせて物語調にしてみるとか?」。生徒の皆さんそれぞれの発表に対して、下田さんはじっくりと向き合っていきます。

さらには「肌が印象的なこんな作品をつくっている人をInstagramで見かけたんだ」「ニキビのぷっくり感を表現するには透け感のある素材もいいんじゃない?」など、生徒間でもアドバイスし合うシーンも。「今しかつくれない過剰なもの。僕はそれがかっこいいと思っています」と、最後には下田さんから生徒の皆さんにエールが贈られました。これまでの授業でも向き合ってきた多様な美のあり方。それが生徒それぞれの興味関心と紐付いていくような時間でした。


次回は、メイクアップの応用技術を学ぶ
次回は、メイン講師の計良さんが校長を務めるヘアメイクスクール「SABFA」を会場とした出張授業の2回目。計良さんと共にメイクアップの応用技術を学びます。徐々に固まってきた最終課題のイメージを、技術的な側面から実現する方法を生徒の皆さんそれぞれが実際にメイクをしながら探っていきます。

我美と作美2022クラスページはこちら