REPORT

「我美と作美(第2期)」 第4回 美しさの表現


美しさをどのように表現するか
「我美と作美」は、メイクアップを通して新たな「美しさ」を表現するクラス。昨年度に引き続き開講する今回も、様々なジャンルのクリエイターが生み出す「美しさ」に触れながら学びつつ、10代の生徒の皆さんが、メイクアップを通して、これからの時代の美意識を自ら生み出していきます。

生徒の皆さんは今回のクラスを通してヘアメイクアップ作品を創作し、それを写真で表現していきます。第4回の特別講師、ウィッグアーティストの河野富広さんとフォトグラファーの丸山さやかさんによるクリエイティブ・プラットフォームkonomadさんは、まさにこのクラスが目指す表現のあり方を牽引し体現されていらっしゃいます。そこで、お二人のこれまでの作品とその背景にある想いに触れ、ヘアメイクアップとその写真表現について紐解いていきました。





「konomad」の表現をアーカイブから紐解く
授業開始とともに生徒の皆さんの目の前に並べられたのは、お二人によるプロトタイプやスケッチも含めた膨大なアートワークが「アーカイブ」されているアートブックの数々。ロンドンやNYなど、世界中を舞台にした活動の「アーカイブ」でもある書籍を紹介しながら、これまでに積み重ねてきた表現とその変遷を紹介してくださいます。
9シーズン連続で「ヘアプロップ」を担当したファッションブランド「JUNYA WATANABE COMME des GARCONS」のショー、ミュージシャンの「Björk(ビョーク)」とのコラボレーションなど、それぞれのクリエーションからときには裏話も。憧れてはいるもののどこか遠い存在にも思えていたクリエーションの現場の緊張感やリアリティを目の前で感じていきます。



「編集/アッサンブラージュ/組み合わせ」としての表現
ロンドン、ニューヨーク、東京、様々な都市で表現を続けてきたkonomadのお二人。暮らす土地によって自ずと作風も変わっていくといいます。例えば、作品のなかで世界観を表すために使う道具や什器も、その土地の蚤の市でみつけたり街中で拾ったりするものも多いそうです。
「海外はある意味で不便。何かをつくる上で必要なものを手に入れるために街を巡ったりしなければいけない。でもだからこそ、そこには『編集』や『アッサンブラージュ』という行為が宿っている。それはアーティストにとって欠かせないもの。東京なら、お金があれば簡単になんでも手に入れることができる。だからこそ、注意をしないと作品がみんな似ているものになってしまうんです」。都市とクリエーションの関係クリエイターとして持っておくべき「編集」という視点にも話が広がっていきます。そして、金銭的な制限があっても工夫次第でクリエーションに向かっていけると、生徒のみなさんの背中を押してくださいました。



「アーカイブ/リファレンス」の大切さ
「古いものと新しい価値観の組み合わせで、新しいものをつくる」と言うお二人の背景には、古今東西のアート、建築、音楽、映像などの膨大なアーカイブがあることが、そのお話から自然と感じられていきます。そのため生徒からも「リファレンスとなる情報やイメージはどう集めているのでしょうか?どうしてもSNSに頼ってしまうんです」といった質問が投げかけらる場面も。

「インターネット上にない情報も沢山あるし、もしあったとしても情報との出会い方が異なる。だから、まずは色々なアートブックを手にしてみるといいのでは?例えばウィッグメイキングの伝統技術は古書から学んだりもしています」としつつ「YouTubeのハウツー動画も観ています。そのミックスでオリジナルを生み出していく感覚です」と、様々な手段を手繰り寄せながらクリエーションへ向かうお二人からはクリエーションに向かう変わらぬパッションと現代のリアリティを同時に感じます。そして、インスピレーションをもらえるアーティストやアートブックを紹介しあうシーンも。こういった会話のなかで示される「おすすめ」も、自然と染み渡っていくようで、生徒のみなさんの背中を押してくれるものでした。(後日、実際に生徒の皆さんはアートブックのショップに足を運ばれたそうです。GAKUのメールニュースでもおすすめの書店をご紹介していますのでぜひこちらからご覧ください)。最後に、お二人から「​​若いからこその荒削りな表現を楽しんでほしいです」とエールが贈られました。


次回は、ヘアメイクの基礎技術を学ぶ
次回は、メイン講師の計良さんが校長を務めるヘアメイクスクール「SABFA」を会場とした出張授業。ヘアメイクスクールならではの多種多様なツールを実際に手にし、計良さんの技術を間近に感じながら、メイクアップの基本技術を自分自身の顔をキャンバスにして実践していきます。

我美と作美2022クラスページはこちら