REPORT

「我美と作美」 第6回 発表・講評


これまでの成果を作品を通して発表する
これからの時代の美意識をつくっていく10代が、メイクアップを通して自分らしい「美」の表現や発信に挑戦する「我美と作美」。3月13日は、メイン講師である資生堂トップヘアメイクアップアーティストの計良宏文さん、ゲスト講師のファッションデザイナーの山縣良和さん、絵描き・アーティストの下田昌克さんをお迎えし、作品発表・講評会を行いました。

時代や社会によって影響を受ける「美しさ」の変遷を学びながら、個々の美意識と向き合ってきたこれまでの授業。今回は最終課題のテーマである「新しい自分」像に基づいて制作した作品を実際に身に纏いながら発表していきました。






*生徒の皆さんの作品集はこちらからご覧いただけます。

「新しい自分」を身に纏う
「昔からずっと、かっこいいスーパーヒーローになりたかった」「フリルのようなふわふらしたものを本当は身にまといたかった」「普段は街に馴染むようなメイクばかりしているけれど、本当はもっとキラキラした世界観が好き」「周囲の人には好まれにくいけれど、私は人間味のないものに美しさを感じる」「人の心を思いやる隙間が今はないけど、本当は優しい言葉を使いたくて」「自分にとって美しさを表現するものって何かを考えたとき、『我美と作美』でいろんなものに触れて変わってきた自分かなと思った」と、一人ずつ、自分の作品に言葉を与えていきます。

生徒の創意工夫に対して、「様々な素材を組み合わせたり、レイヤードをしたりすることで、今までに見たことのない質感や色合いになっている。『新しい人間像』をつくりだすファッションデザインの仕事ってまさにこういうことだと思います」「初めてメイクした前の授業より断然うまくなっている。それは時間をかけて自分自身と向き合うことができたから。これからさらに自分と向き合う時間を持つことで次第に自分だけの表現が生まれてくると思います」「それ、反対向きに着てみたらどうなるかな?他にも部品作ってなかったっけ?せっかくだから今付けてみようよ」と、ファッションデザイン、ヘアメイクアップ、造形制作と3名それぞれの観点から、実際に手を動かしながらのフィードバックがありました。





表現し続けることの大切さ
「表現することは人の欲求の一つにもなっていると思うんです。衣食住への欲と同じように、表現する欲というものも人間が持っていて当たり前なんじゃないかって。そして、今回のように思うがままに手を動かして実際に何かをつくったり、それに対して意見や評価をもらったりすることは、新しい自分に気づくきっかけになるはず。だからこれからもいろんなものにチャレンジしてほしいし、やめないでほしい。やり続けてほしいなと思いました」と計良さん。

「皆さんが作った作品だけじゃなく、皆さんの、自分の好きなものや美意識に素直な在り方や、僕と話したことを踏まえてすぐに手を動かして応えてくれる姿勢に感動した。若いって素敵、羨ましいです。これからも自信を持って生きていってください」と下田さん。

「こんな世界情勢の中で思うのは、みんなが自由に表現する、表現を纏った姿で街を歩けるって、当たり前のようですごく尊いものだということ。またそれを守っていくことが、戦争への意思表示にもなる。皆さんも今回の経験を大切に、これからも自由に表現してほしいと思います」と山縣さん。

「表現したい」という衝動に素直で居続けるそのプロセスの中で、自分の中に新たな一面を見つけることができること、そしてそのアウトプットが新たな世界へと導くメッセージにもなりうることを、講師の皆さんの言葉を通じて感じていきました。


現代においてクリエーションと切り離せない、SNSを学ぶ
授業の最後には、それぞれの作品を身に纏って集合写真を撮影。そして次回はいよいよ最終回となる「美しさの発信」。自分なりの美しさを考え制作をしてきたプロセスを経て、その適切な届け方を捉えていきます。

 

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