REPORT

「遊びのアーバニズム実践学2022」第1回 パラ・サイト


「遊び」から、これからの都市と建築を考える
街を舞台に、「遊び」を通してリアルな都市空間や建築デザインを学んでいく「遊びのアーバニズム実践学」。建築家の海法圭さん、津川恵理さん、建築リサーチャーの川勝真一さんからなるプロジェクトチーム「Town Play Studies」と、東京理科大学理工学部建築学科西田研究室の学生の皆さんとともに、身体的なコミュニケーションである「遊び」からこれからの都市や街のあり方を考えていきます。

12月10日(土)に開講された第1回授業では、その「遊び」の可能性を感じるためのガイダンスとともに、実際に渋谷の街で「パラ・サイト」と題された「遊び」を実践していきました。

 


街を捉えていくキーワードとしての「遊び」
「誰かから与えられた空間や決められたルールの中だけで過ごすのではなく、暮らす人それぞれが自分なりの街との関わり方や楽しみ方を見出していくこと。それが、豊かな街づくりに繋がっていくのではないか」と、川勝さんは言います。例えば、使われていない駐車場にペイントをして子どもたちの遊び場やイベント空間として活用している「city repair project」。手すりや階段など、街にある様々なものを遊具に見立ててパフォーマンスをするスポーツ「パルクール」など。授業のはじめには、「どのように楽しむか」という視点から生まれた街を舞台とした様々な事例が紹介されました。既存の空間を自分なりに捉え直していくことで新たな人の居場所を生み出したり、街での行動をより豊かなものにしていったり。そういった主体的な都市との関わり方は、まさに「遊び」の根幹にあるもののように感じられます。

 


ダンボールを持って渋谷の街に繰り出す
後半では実際に渋谷の街に繰り出し、「遊び」を実践していきました。今回のテーマは「パラ・サイト」。「ビルとビルの間や階段の下、道の端にあるちょっとした空間など。都市に存在する誰にも使われていない空間は『VOID』と呼ばれ、実は街の中にたくさん存在しているんです」と、津川さん。なぜ都市にそのような空間が生まれているのか。どのように使いこなすことができるだろうか。そんな問いを立てながら、実際に渋谷の「VOID」を見つけ出し、段ボールを活用しながら街に新たな空間を生み出すことに挑戦していきます。

「ちょうど座りやすそうな段差を見つけたから、段ボールを机に見立ててミニコワーキングスペースを作ってみた。よく見るとちょっとした段差に人が溜まっていたりして、実はみんな無意識に居心地の良さを感じているのかもしれない」「建物と建物の間の空間。薄暗くて狭いけど、身体を預けることができて意外と落ち着けた。でもそういった場所には大体喫煙禁止マークやカラーコーンが置いてあったのが印象的だった」と、ダンボールを床にも柱にも屋根にも見立てながら、街の中で様々な発見が重なっていきます。

「街の中に段差や階段が多いのは、高低差がある渋谷ならではの特徴。実は人の集いやすい場所になっているということだね。」「わざわざ塞がれているような『VOID』は、居心地の良い場所であることの証でもある。人が居座ってしまう恐れがあるから、意図的に封鎖してるんだね」と、講師の方々とのフィードバックによって考察も深まっていきました。

 


次回は個々の都市体験を「ZINE」として表現する
「これからの建築家は、ただ建物を依頼されて建てるだけではなく、そこでの人の過ごし方や振る舞い、街づくり全体までを考えていくことが必要だと考えています。その上で、『街で遊ぶ』ということを切り口に魅力的な都市や建築について考えていくことが重要なキーワードになるのではないか。そういった問題意識からこのクラスが始まりました」という海法さんたちの建築や都市に対する考え方を体感することができた初回授業でした。次回のテーマは「まちZINE」。自分なりの視点から捉えた街の姿を写真や言葉で記録し、手作りの冊子として表現することに挑戦していきます。

 

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