REPORT

「遊びのアーバニズム実践学」第4回 センシング・ビンゴ


センサー技術を通して都市を体験する
街を舞台に、「遊び」を通してリアルな都市空間や建築デザインを学んでいく「遊びのアーバニズム実践学」。講師を務める建築家の海法圭さん、津川恵理さん、建築リサーチャーの川勝真一さんと、東京理科大学理工学部建築学科西田研究室の学生の皆さんとともに、身体的なコミュニケーションである「遊び」から、これからの都市のあり方を考えていきます。

1月11日(火)に開講された第4回のテーマは「センシング」。温度や湿度、風速など、普段の生活の中でそれぞれが感覚的にとらえている「目に見えない要素」を数値として表してみると、どのような都市の姿が見えてくるのか。そんな問いを立てながら、渋谷PARCOを舞台にビンゴゲームを通じて、「センシング」を実践していきました。

 


「センシング」は都市の共通言語になる
前半の講義では、海法さんが実際に作り上げた建物や空間設計を例に挙げ、都市と「センシング」の関わりについて解説。「建築は『どう形にするか』も大切だけど、実は『建てる環境をいかにコントロールするか』というところに鍵がある」という海法さん。様々な感覚を持つ人が暮らす都市の中で、いかに多くの人にとって安全で過ごしやすい環境を作り上げていくか。都市において「センシング」は、「感覚の共有言語」として機能を果たしているのだと言います。

後半では、渋谷PARCOを舞台にセンサーの数値を使ったビンゴゲームに挑戦。「表面温度」「湿度」「照度」「音量」「風速」「空気質」「傾斜」の7種類のセンサーを手に、ビンゴのコマと値を照らし合わせて、ゲーム感覚で計測していきます。

 


測定値と身体感覚、それぞれを横断しながら
「メートルはよく使うから自分の感覚と数値が大体合ってた。知らず知らずのうちに体に染み付いているのを感じた」「渋谷PARCOは空間でくぎられている場所がないから、どこでも同じくらいの音量かなと思ったら、フロアによって大きさも音楽も全然違っていた。これまで意識していなかったな」センサーと身体感覚を比較してのこんな気づきや、「手すりの傾斜がどこも同じくらいの角度だった。人間が手を置きやすいサイズって決まってるのかな」と、数値を元に建物内に規則性を発見した生徒も。自分の感覚だけではとらえきれない詳細な情報から都市を見てみると、それぞれの気づきを発表し合うのも新鮮です。

 


次回は、渋谷の街の生態系に迫る
センサー技術を通じて、環境を数値としてとらえながら都市を体験していった今回。次回の授業では、人間以外の生物に目を向けながら、渋谷の街の生態系に迫っていきます。動植物の視点から、都市はどう見えるのか。それらと都市、人間の暮らしはどのように関わり合っているのか。生徒の主観性のある切り口から、客観的なデータ観測まで。様々な切り口から都市に迫るこの授業。次回はどのような都市像が浮かび上がってくるかとても楽しみです。

 

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