REPORT

「遊びのアーバニズム実践学」第2回 パラ・サイト


街の隙間を自分の場所にすることから、都市や建築を考える
街を舞台に、「遊び」を通してリアルな都市空間や建築デザインを学んでいく「遊びのアーバニズム実践学」。講師を務める建築家の海法圭さん、津川恵理さん、建築リサーチャーの川勝真一さんと、東京理科大学理工学部建築学科西田研究室の学生の皆さんとともに、身体的なコミュニケーションである「遊び」から、これからの都市や街のあり方を考えていきます。

12月7日(火)に開講された第2回授業のテーマは「パラ・サイト」。都市の隙間を見つけて、自分なりの居場所に作り変えていくこと。それは、街や建築を「自分のもの」にしていくために必要な視点です。今回は、そのような新たな都市への関わり方を学び、実際に渋谷の街に繰り出して「パラ・サイト」を実践しました。

 


ダンボールを携えて街に出る
前半の講義では、建築や都市における「パラ・サイト」の事例を現代美術やファッションなど、領域を横断していきながら見ていきます。ビルとビルの間や、道のちょっとした余白、階段の下のスペースなど、実は都市のあらゆる場所に存在している隙間。通り過ぎるだけだった街路が、自分たちの居場所になったらどう思うか。そもそもなぜそのような隙間が生まれるのか。様々な問いを立てながら、建築や都市を考えていくための新たな視点を深めていきます。

後半では、渋谷の街に繰り出して、実際に「パラ・サイト」の活動を体験します。使えるものは、ダンボール。屋根、壁、床。ダンボールに様々な機能を持たせながら、街の風景の意味を捉え直していきます。自動販売機の隙間、道路の端など、渋谷の様々なスポットに自分だけの空間が生まれていきました。

 


都市での過ごし方を変えると、発見も変わってくる
「ちょうど肘をつけるくらいの高さの使われていないブロック塀は、休憩もできるし、ダンボールを机の代わりにして、カウンターみたいにも使える」「建物と柱の間にある小さな空間。座ってみたら、左を見たら人がたくさんいる大通りで、右をみると人がほとんどいない路地裏。左右で対照的な景色があって不思議だった」「電光掲示板の裏側に入ってみた。たくさん人が通っている道を裏側から見ていたら、自分が人間じゃないような感じがした」創り出した思い思いの過ごし方を写真とともに発表し、渋谷の街での実践や発見を振り返ります。普段の生活とは異なる、新たな都市体験の感想が浮かんできました。

 


次回は、渋谷の都市体験をZINEで表現
自らの身体感覚を研ぎ澄ましながら、実際に都市に関わりながら学んできたこれまでの授業。次回は、それらの発見を構成していきながら、個々の都市体験を1冊のZINEとして表現していきます。都市がどのように読み物に変換されていくか。そして、逆にそれらの表現が建築や都市にどのように相互作用をもっていくのか。これからの授業もとても楽しみです。