REPORT

「東京芸術中学」第58回 菅付雅信さん


世界の事例から、デザインのあり方を考える
編集者・菅付雅信さんと15人の世界的クリエイターによる『東京芸術中学』。12月11日は菅付さん自身が講師となり、「デザイン」をテーマとした講義。世界中のデザインアワードの紹介を通して、デザインが社会で果たしてきた役割やその変化を学び、これからのあるべきデザインの姿を一緒に考えていきました。



社会を動かし、支えるデザイン
前半では、近年のアワードで高い評価を受けているデザインを見ていきます。例えば、ドイツで話題となった「タンポンブック」。消費税が高い生理用品を消費税の低い本の付録にするというデザインが、国が税率を見直すきっかけをつくり、実際に法律を変えることができたそう。これらのデザインに共通するのは、「今現在の個人の生活をより良いものにするだけでなく、社会に向けてメッセージを発信して未来を動かす機能がある点」だと菅付さんは言います。

後半では、さらにデザインが向かう対象の拡張を捉えていきます。ブラジルの首都を舞台に街全体のあり方を考えたり、3Dプリンターを用いてインターネットの検索結果が立体的に出力され触ることができるシステムを考えたり。様々なスケールがあったり、目に見えるものも見えないものもあったり。デザインがもつ多様さを学びました。


これからのデザインに求められること
「これまでのデザインはカタチを示すことだった。だけどこれからのデザインは考え方を示していくこと。その考え方は、より良い社会を目指していくためのものです。そのためには、普段から社会を広い視野で捉えていくことがまず欠かせません」と、菅付さんからのこんなコメントで授業が締めくくられていきました。


これまでの授業も思い起こさせる視点
これからのデザインに欠かせないという「社会を広い視野で捉えていくこと」。これは、これまでゲスト講師を務めてきた様々なクリエイターの方々も口にする言葉です。デザインでもファッションでも音楽でも、どんなクリエーションにも欠かせない視点であることを確認しつつ、これまでの授業の連なりを思い起こさせる機会となりました。

東京芸術中学クラスページはこちら