REPORT

観劇プログラム 第1回『Don’t freak out』


演劇作品を、ともに鑑賞するという学びの場
演劇のクラス「新しい演劇のつくり方(第2期)」では『三月の5日間』(チェルフィッチュ)を原作とし、生徒の皆さんが新たな物語の戯曲を書き、演出し、演じ、発表していく授業が進められています。同時に、GAKUでは、10代と演劇との出会いをもっと広げていきたいと考えています。そこで、同授業の総合ファシリテーターでもあり演劇ジャーナリストの徳永京子さんによる観劇プログラムを開催しました。

第1回目となる今回の観劇作品は、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが主宰する劇団、ナイロン100℃による『Don’t freak out』。主演の松永玲子さん、村岡希美さんも、舞台の直後に駆けつけてくださり、本作品を通した心象や考察を交わし合いました。



作品とともに都市文化を感じる
『Don’t freak out』は、結成30年を迎えるナイロン100℃の48回目の本公演となります。そして、上演される舞台は、演劇の街と呼ばれる下北沢の代名詞のひとつでもある「ザ・スズナリ」。

現地では、「「演劇の街」をつくった男―本多一夫と下北沢」の著書でもある徳永さんから、ザ・スズナリの歴史もご紹介頂きます。「演劇表現を志す若者のために」という想いのもと、もともとは俳優のための稽古場として使われ始めたそうで、40年以上の歴史を持つその劇場からは、重ねられてきた歴史や重みが随所に感じられます。

「新しい演劇のつくり方」総合ディレクターを務めるチェルフィッチュの岡田利規さんも是非一緒にということで、お越し頂くことが叶い、生徒同士もはじめましての人も顔見知りの人も混ざり合いながらの観劇体験。開場前には、入場を待ちわびるお客さんの長蛇の列。チケットが入手困難であった本公演の、本番前の独特な緊張感や熱気も感じながら、席へと向かっていきました。

「新しい演劇のつくり方」総合ディレクターを務めるチェルフィッチュの岡田利規さんも是非一緒にということで、お越し頂くことが叶い、生徒同士もはじめましての人も顔見知りの人も混ざり合いながらの観劇体験。開場前には、入場を待ちわびるお客さんの長蛇の列。チケットが入手困難であった本公演の、本番前の独特な緊張感や熱気も感じながら、席へと向かっていきました。






みんなで話すと、深まるし広がる
2時間20分の観劇を経て、下北沢の街をみんなで散策しつつ会場を渋谷パルコのGAKUに移して、ここまでの体験を振り返ります。「演劇を観るという体験は、一人ひとり異なるもの。だから正解も不正解もないので、自由に印象を言葉にしていきましょう」「演劇の道に限らず、感じたことを言葉にしていくことは、とても大切なこと。上手に言葉にならないくらいがちょうどよいので、ゆっくりお話をしていきましょう」と、徳永さん。

登場人物の人となり。人物と人物との関係性や物語の展開。その物語が生まれる状況や舞台。それぞれが強く印象に残ったことをじっくりと確かめるように言葉にしていきます。演劇作品についての考察を語りながらも、おのずと自分自身の興味のあり方に関する話にも重なりながら変遷していくところも、観劇を通した対話の面白さのひとつであるように感じます。

そもそも演じるということはどういうことなんだろう。演出家と俳優ってどういうやりとりをしているんだろう。普段から、演技や演出に関心があるからこそ生まれてくる疑問にも、松永さんや村岡さんはしっかりと向き合いつつ、それぞれの生徒の背中を押してくれるようなコメントを贈ってくれました。





観劇プログラムはこれからも続いていきます
ひとりで観劇するのも、みんなで観劇するのも、両方とも大切な体験。同時に、同じ場所同じ時間に、同じ作品を観劇するという体験を深めていくことの可能性を感じるプログラムでした。そして、それも演劇の可能性のひとつであるように思います。GAKUでは、観劇プログラムを今後も続けていきますので、演劇に初めて触れる人もそうではない人も、是非ご注目ください。