「『私をつくる教室』をつくる」第9回 製作⑤
最終発表会に向けたラストスパート
「『私をつくる教室』をつくる」は、世界的建築家・伊東豊雄さんが主催する建築塾「伊東建築塾」による建築のクラス。講師は、昨年度に引き続きPERSIMMON HILLS architectsの廣岡周平さんとKASAの佐藤敬さん。今年度は全10回の授業を通じて、「教室」のアイデアを深めながら、実現していくことを目指していきます。
2月25日(日)は、発表会前最後の授業。模型の最終調整をしたり、プレゼンボードの製作を進めたり、伝えたいことを改めて言葉にしていったりと、それぞれの方法で自分のアイデアと最後まで向き合い、次週の発表会に備えていきます。
自分のコンセプトや想いをどのように伝えていくか
最終発表会の一人当たりの発表時間は2分間。生徒の皆さんはその限られた時間の中で、半年間検討を重ねてきたアイデアやそこに込められた想いを、模型やスケッチとともに伝えていくことが求められます。そのため、今回の授業では模型の仕上げ作業をしつつ、生徒一人ひとりが、講師のお二人から発表に向けたフィードバックを受け取っていきました。
例えば、「その建築を名詞だけで表すと『丘』かもしれない。でも、自分の表現したい空気感のようなものは伝えきれないはず。それをどのようにタイトルに込めていくか、ということを考えていくといいかも」「無理に言葉で説明しすぎなくてもいい。スケッチがとても良いから、それをたくさん壁に貼るだけでも納得感が出るかもしれない」「自分にとっての学びとは?学びの場とはなんなのか?ということを話せれば大丈夫。大きい話をしなくていい。自分の身体を通して感じた素直な感覚を言葉にしていこう」など。一人ひとりのアイデアやその人となりに向き合い、コメントを贈っていく様子がとても印象的です。生徒の皆さんはそんな言葉を受け取りながら、それぞれのアイデアの奥にあるそもそもの想いや、そこに至るまでの試行錯誤を振り返り、発表会に向けた心構えをしていくような時間になりました。
説得ではなく、自分の素直な想いをぶつけて欲しい
「どういう学びの場を実現したいのかという目指すべき方針を1つ、そのために自分がやったことを3つくらい話せるといいかと思います。全部を言葉で説明できなくてもいい。模型やスケッチに自分のやりたい世界観が表れていれば、受け取り手の想像も広がり、思いもよらない形で案の可能性が広がっていくかもしれない」と、廣岡さん。
「説得ということではなくて、自分の想いを伝えていくことを意識してほしい。自信を持って、素直に、自分の情熱を伝えよう」と、佐藤さん。
授業の終わりには講師のお二人から、次回の最終発表会に向けたエールの言葉が贈られました。
次回は「私をつくる教室」の最終発表会
「学び」というもののあり方を自分なりに解釈するところから始まり、それぞれが半年間、自分のアイデアと向き合い続けてきたこれまでの授業。次回の最終発表会では、その集大成となる模型とともに、そこに込められた想いを一人ひとり言葉にしていきます。
(写真・執筆:佐藤海)